国産でスポーツカーといわれる車種は今や数えるほどしかないが、2021年はそんな代表的なスポーツカーの新型モデルが相次いで登場するかもしれない。環境性能や安全性が優先される現在の自動車業界において、スポーツカーのモデルチェンジはどんな意味を持つのか。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。
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2021年に登場が予想される新型車で、まず確実に大きな話題となるのがトヨタ「86」とスバル「BRZ」の兄弟モデル、そして日産の「フェアレディZ」の2つです。
この2モデルは、どちらも2020年中にデビューが予告されました。日産「フェアレディZ」は9月にプロトタイプが発表され、11月にはスバルの次世代「BRZ」が北米にて発表されました。「BRZ」と「86」は兄弟車ですから、トヨタからのアナウンスはありませんが、ほぼ同時に日本で発売されることでしょう。
では、この2モデルは、どんなクルマなのでしょうか。すでに発表された情報から2モデルの内容を紹介したいと思います。
歴史を彷彿させる新型Zのデザイン
まず、日産は2020年5月に2023年度までの中期経営計画を発表しています。そこでは、以後18か月(2021年末まで)で12の新型車を投入すると発表しています。その中のひとつが「フェアレディZ」であることは、ほぼ間違いないでしょう。その発表の4か月後である9月に「フェアレディZプロトタイプ」が公開されました。
そこで発表されたのは、最小限度の主要諸元と内外装デザインでした。
デザインは、約50年にもおよぶ「フェアレディZ」の歴史を彷彿とさせるもので、ロングノーズ&ショートデッキという古典的なプロポーションの中に、歴代モデルのデザインアイコンが散りばめられるというもの。もちろん全体としての雰囲気はとてもモダン。日本だけでなく、世界中の「フェアレディZ」のファンに間違いなく受け入れられるような格好良さがあります。
プラットフォームは、新規になるのか旧型の改良になるのかは分かりませんが、先代モデルと大きさは、それほど変わりません。そこにV6ツインターボ・エンジンと6速マニュアルトランスミッションを組み合わせたパワートレインが搭載されます。
日産は「革新の伝統を受け継ぐZは、ドライバーが主役の、ピュアスポーツカーとして、世に送り出します。Zは、私たち日産のDNA、情熱そのものです」と説明します。どうも、今どきの電動化技術が採用される気配はありません。純粋なエンジン車として登場するのではないでしょうか。