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暴徒と化したトランパーが全米で州都襲撃する恐怖の計画も

どこか芝居じみた「暴徒」と「警官隊」の「激突」だった(AFP=時事)

どこか芝居じみた「暴徒」と「警官隊」の「激突」だった(AFP=時事)

 連邦議会議事堂の乱入事件から1週間が経ち、アメリカ政界は残り任期わずかとなったトランプ大統領を追及する声が圧倒的になった。これまでトランプ氏の忠実な僕だった共和党幹部たちも、次々と泥船から逃げ出そうとしている。いまやトランプ氏の「切り札」となるのは、議事堂に乱入したような熱狂的支持者のみに見える。過激集団は「次の襲撃」も準備しているという。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が「暴徒」の実態をリポートする。

 * * *
 議事堂に乱入したトランプ支持者たちを、アメリカのメディアはMobと呼んでいる。暴徒の意味である。確かに暴徒であるが、実は筆者はあの日、ニュース速報の映像を見ていて違和感を抱いていた。彼らがまるで議事堂見学の観光客のようにいとも簡単に侵入し、わずかな守衛の横を平気で歩いていった光景が不思議だったのである。窓は割ったが、銅像や彫刻など、いかにもMobが破壊しそうなものは無事だった。ようやく駆けつけた警官隊も最初は手薄で、のちに警備の失敗の責任を取ってワシントンの警察署長が辞任した。

 5人も死者が出たというのに、とてもそんな凄惨な現場には見えなかった。暴徒に同情はできないが、彼らはトランプ氏の扇動に乗り、“招き入れられるように”議事堂に入り、逮捕された。取り締まる側も、“彼らが入ってくるのを待って”一網打尽にしたように感じられるのである。Mobは、トランプ氏にも取り締まり当局にも利用されたのかもしれない。

 Mobとその予備軍である熱狂的トランプ支持者(トランパー)たちには、実に様々なグループがある。陰謀論者の集まりであるQAnon(キューアノン)や、極右の若者集団であるプラウド・ボーイズをはじめ、さまざまなミリシア(民兵組織)、ネオナチ、無政府主義者、そして過激な同性愛者の集団もいる。彼らはこの4年間、足しげくトランプ氏の集会に通い、熱い声援を送った。トランプ氏のパフォーマンスは過激化し、その話術に魅了され、いつの間にかトランプ氏の思うがままに動く私兵のような集団になっていったのだろう。

 トランプ大統領は白人の優秀さを説いた。暴徒の映像を見てわかるとおり、トランパーの多くが中産階級出身の白人である。彼らはコロナ不況の前から移民たちに仕事を奪われ、生活は苦しくなる一方だった。それでも彼らは、移民たちのように低い賃金で働こうとはせず、根拠のない優越感を育てていた。しかし、その間に企業や雇い主たちは、ますます移民を雇うようになり、白人中産階級は跳ね除けられていったのである。

 筆者のセカンドハウスの庭仕事が典型例だ。20年ほど前は白人の庭師だったが、ラテン系の移民を雇ってみると、農業をよく知っているので庭づくりはお手のものだった。彼らは手袋もせずに素手で土をいじる。それだけ丁寧な仕事ができる。白人のサービス会社に頼むと、手を汚すのが嫌だから、なんでも道具で粗末にやるのである。我が家が特別なのではない。今では、この種の仕事はほとんどラテン系の移民が請け負っている。

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