「なぜ、政府はそれを調べるように命じないのか。コロナ変死が増えているという事実を明らかにしたくないのではないかと、勘ぐってしまいます」(医療ジャーナリスト)
これまで示したように、新型コロナで恐ろしいのは、「症状の急変」が生じることだ。感染拡大が始まった昨年初頭、真偽不明だが中国の路上で唐突にうめき声をあげ、仰向けに倒れたのち、胸をかきむしりながら痙攣を続け、突然死した男性の映像が世界中に出回り、衝撃を与えた。
昨年12月27日には、羽田雄一郎参議院議員(享年53)が、予約していたPCR検査を受けに出かける最中に容体が急変した。羽田議員は自動車を運転する秘書に「おれ、肺炎かな」と告げた途端に意識を失い、心肺停止となった。症状急変の理由を国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが解説する。
「新型コロナに感染すると全身に血栓ができやすくなったり、急激に肺病変が進行したりします。それにより心筋梗塞や脳梗塞、呼吸不全が発症して突然死となる恐れがあります。新型コロナは初期対応が遅れると急変する恐れのある病気です。特に高血圧や糖尿病といった生活習慣病がある人は血管がもろく、新型コロナ感染による血栓で重症化しやすくなります」
医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんは、「低所得者ほどコロナ変死のリスクが高い」と指摘する。
「そもそも低所得者は、持病があっても受診しないケースが多い。そういう人は雇用が不安定なので仕事を休めない。そのため症状があってもPCR検査を受けず、変死するリスクがあります。しかも世界各国と違って日本は低所得者層へのケアが少ない。感染拡大が続くこの先は弱者を中心に、陽性と判明しないうちに新型コロナで亡くなるケースが増えるかもしれません」
最近では、人工透析を受けていて新型コロナに感染した患者が入院できる都内の病床が満床になったと報じられた。命の最後の砦である医師と病院が、役目を果たせなくなりつつある。日本はじりじりと追い詰められている。
※女性セブン2021年1月28日号