箱根駅伝のダークホースとして大会を盛り上げた創価大学は創価学会を母体とする。箱根での躍進はスポーツ教育に力を入れた結果か──。『永遠のPL学園』(小学館刊)の著者でノンフィクションライターの柳川悠二氏が裏側を追った。(文中敬称略)
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箱根駅伝の往路が行なわれる1月2日は創価学会・池田大作名誉会長の誕生日でもある。93歳を迎えた今年、往路を制したのは、1971年に同氏が創立した創価大だった。
創価大にとって2021年は建学50年にあたり、創価学会も10年後に迫る創立100周年へ向けた「希望・勝利の年」と位置づけている。復路の10区で駒澤大(ちなみに曹洞宗系の学校)に逆転を許したとはいえ、これ以上ない新年の門出だろう。創価学会の機関紙である聖教新聞は駅伝部の大躍進をこう報じている。
〈見事なチームワークで、感激の劇(ドラマ)を創ってくれた。開学50周年という佳節に、皆で心を一つに勝ち開いた壮挙、誠におめでとう〉(1月4日付)
宗教とスポーツ──。時にそれは密接に結びつく。とりわけ明治期から昭和期初頭にかけて興った新宗教系の団体は、系列の高校・大学におけるスポーツ活動を通じて、宗教名を広め、信者数を拡大してきた歴史がある。
創価大の選手が初めて学連選抜の一員として箱根の4区を走った2003年には、多くの学会員が沿道に詰めかけ、声援を送った。だが、応援自粛要請のあった今年はそうした光景は消えた。創価大OBの男性学会員が語る。
「今回はコロナ禍のため、聖教新聞紙上でも沿道での応援を控えるようにとの呼びかけがなされていた。なので今年はテレビでの観戦でしたが、創価大生の学会の赤・黄・青の三色旗をイメージしたユニフォーム姿は本当に凛々しかったですね」
創価大の駅伝部は1972年に創部されたが、初出場は2015年の91回大会。箱根路への道のりは遠かった。以前は系列の創価高校・関西創価高校のメンバーを中心に構成されていたが、スポーツ推薦制度を活用し始め、近年は陸上の名門高校出身者やケニア人留学生など非学会員のランナーも受け入れてきた。
門戸を広げた結果、今年の箱根を走った10選手のうち、系列校出身者はわずかひとりとなった。
学会員ではないランナーが創価大を選ぶ理由は、トヨタ紡織や旭化成をはじめとする実業団チームや、学会系の企業に限らず大手旅行会社や大手メーカーなど一般企業への優れた就職実績を公表していることも魅力だからだろう。