中国の習近平国家主席が北京の執務室で行った新年の演説で、習氏のバックに映った書棚に飾られた多数の写真が話題になっている。そこには、妻の彭麗媛さんとのツーショット写真や習夫妻と娘の習明沢さんとの家族写真、父親で建国の元勲として知られる習仲勲元副首相や習氏一家の記念写真など家族愛や親しみやすさを強調したとみられる写真が多数飾られていた。いずれも初めて公表される写真だ。
昨年来の香港の民主化運動の弾圧や米中対立、自身の国家主席多選に道を開く憲法改正など、このところ習氏の独裁的な強硬姿勢が目立っていることから、これらの写真で少しでも自身のソフトな印象を際立たせようとの狙いが透けて見えるようだ。
習氏の新年祝賀の演説は1日、中国国営中央テレビ局で放送された。その内容は昨年、中国が新型コロナウイルスとの闘いに勝利したほか、経済活動も再開し中国が貧困を克服したなどと、共産党の政策の成果を誇示するもので、例年と変わりないものだった。
その一方で、習氏のバックに映し出された書棚の写真が例年よりも増えていることが際立っていた。
中国のシンボルといえる万里の長城や中国の国旗「五星紅旗」のほか、習氏自身の若い時のポートレートやここ数年の地方視察の際の習氏と民衆との交流の写真、家族との写真が多数飾られていた。
特に、ファーストレディの彭麗媛さんの写真は結婚したばかりの若いころのものや、ここ数年の間に撮影された写真など10枚以上あった。また、明沢さんを交えた家族写真も数枚飾られており、例年とは全く違っていた。
中央テレビ局の番組では、習氏の演説に加えて、番組独自の企画として、これらの写真を1枚1枚紹介し、習氏の思いが自身の言葉として語られている。
例えば、番組では習氏の家族の写真について、「習近平主席は家庭生活と家庭教育を大切にしている」とのナレーションが入っていた。また、「家族は人生の最初の教室であり、両親は子供の最初の教師です」との習氏の言葉が引用されている。