正月のおせち料理には、それぞれ縁起を担ぐ「意味」があり、食べることで福を招こうというものだ。同様の「開運フード」に関する風習は、日本以外でもある。
中国では、旧正月にあたる春節を大切に祝う風習がある。今年の春節は2月12日で、この前日に家族そろって食べるのが水餃子だという。世界各国の料理に詳しい料理研究家のヤミーさんが話す。
「年が変わる子の刻(23~翌1時)を『更歳交子(ガンスイチャオズ)』というのですが『交子』と『餃子』の発音はともに“チャオズ”。この時間に家族みんなでつくった餃子を食べるのは“一家だんらんで縁起が良い”という意味合いがあるそうです。また、その形が昔のお金『元宝』に似ていることから、“金運に恵まれる”という意味もあります」
管理栄養士で、群馬大学などで教鞭を執る大石みどりさんは、皮で包む料理には、“幸せを包み込む”という意味があると話す。
「丸い形には家庭円満や子孫繁栄の意味があります。ますます寒さが厳しくなるこの時期にたくさん食べてパワーをつければ、元気に春を迎えられるという昔の人の知恵から生まれたものでもあるのでしょう。高価なものではなくても、縁起のいい意味を持たせることで、ごちそうとしてふるまう理由づけになるのです」(大石さん・以下同)
健康・長寿を願うなら魚を丸ごと調理
日本で鯛は「めでたい」といわれるように、魚は世界各国で開運食材だと考えられている。中国語では「魚」は、余裕を表す「余」と同じ発音をすることから、「年年有余=毎年お金や食べ物に余裕が持てるように」という春節の言葉になぞらえ、魚は縁起がよいものとされている。
「年頭から年末まで幸運が続くようにとの願いを込めて、丸ごと調理するのが一般的です。頭と尾を残して食べ、年末までの幸運を祈るという地域もあるそうです」