新型コロナ感染の収束が見通せない中、今夏に開催予定の東京五輪・パラリンピックの再延期もしくは中止論が日増しに高まっている。仮にオリンピックが中止になった場合、不動産市場にも影響を及ぼすとの予測も出ているが、果たして本当なのか──。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。
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2021年7月に開幕する予定の東京五輪に暗雲が漂ってきた。年明けからNYタイムズやブルームバーグなど、海外のメジャーなメディアが五輪開催を危ぶむ報道記事を出し始めたばかりか、菅内閣の閣僚からも「開催は不透明」という発言が出てきた。
現状から考えると、開催はいかにも避けるべきと思える。選手団へのPCR検査の徹底や入国後の自主隔離、あるいは無観客での協議開催といったイレギュラーな措置を採ったとしても、五輪関連でのクラスター発生は避けられないと予測できる。
最悪の場合は、多くの来訪者が発症して命の危険にさらされることだってあり得る。最早、現実的に考えると五輪開催はかなりの確率で危うい。例えば、「今から2週間後の開催」というスケジュールであれば、100%不可能だと言える状況だ。
仮に五輪が中止になった場合、東京のマンション市場にどのような影響があるのかを考えてみたい。
その第一歩として、2013年9月に東京五輪の開催が決まったことで、この街のマンション市場がどのように変化したかを振り返ってみよう。