突然の“定年制度”の発表に世間は驚いたが、当の芸能界では肯定的に受け止められているという。芸能界は粘ったからといって必ずしも成功できる世界ではない。実は明文化されていない年齢のボーダーラインが存在するというが──。
アイドルファンたちの胸をザワつかせるニュースが報じられたのは、1月16日。ジャニーズ事務所が、所属するジャニーズJr.に「22才での活動終了制度」を導入すると発表したのだ。
ジャニーズJr.は、故ジャニー喜多川さん(享年87)が作ったタレントやアイドルの育成・発掘制度で、アイドルの卵たちがここでダンスや歌、演技の指導を受け、大きく羽ばたいていった。SMAP、TOKIO、昨年末で活動休止した嵐、目下、多くのファンを虜にするKing & Princeなど、すべてのジャニーズの母体ともいえる存在だ。だが、近年は高年齢化という問題もあった。
「Jr.の卒業のタイミングは基本的にはCDデビューです。生田斗真くん(36才)や風間俊介くん(37才)のように歌ではなく、俳優として実績を積んで卒業するケースもありますが、稀です。デビューできなければ、ずっとJr.。2013年には佐野瑞樹さん(47才)が、『40代のJr.』として話題になりました(佐野は2018年末で退所)」(芸能関係者)
ジャニーズ事務所は今回の制度導入の目的を「Jr.たちの多様な未来を確保・尊重するため」と説明している。その背景を、元上智大学教授でメディア文化評論家の碓井広義さんはこう分析する。
「今回の制度は、事務所の親心なのでしょう。22才といえば大学を卒業して社会人になる人も多い年齢です。子供の頃から芸能界に身を置いていることで、周りが見えなくなっている人も多い。立ち止まって考えるきっかけを作るという意味合いもあったのではないでしょうか」
この“22才定年制度”は、2023年3月31日から適用される。ファンの間では、「いまのJr.にも22才を過ぎている人たちはいるけど、あと2年でデビューしなければ引退?」といった心配の声もあがっているようだが、芸能関係者の間では、概ね賛同の声が多いようだ。
「本来、芸能界ほどシビアな世界はないのに長々としがみついてしまい、自分の人生を棒に振る人がいるのも事実なんです。それに明文化されていないだけで、芸能界には多くの年齢制限がある。例えば俳優であれば、『この年までに一度でもいい役をもらえなければ、99%ブレークできない』といったものです。今回のジャニーズ事務所の“定年制度”を皮切りに、追随する事務所も出てくるかもしれませんよ」(芸能事務所幹部)
芸能界に暗黙のルールとして広がる年齢制限。そのベールを剥がしてみよう。