映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、映画『ヤクザと家族 The Family』(1月29日全国公開)に出演する舘ひろしが語った、『あぶない刑事』に主演するにあたって参考にしたこと、石原裕次郎さん、渡哲也さんに言われた芝居をすることについての言葉を紹介する。
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舘ひろしは一九八六年、テレビドラマ『あぶない刑事』(日本テレビ)に主演。さまざまなガンアクションを繰り広げている。
「僕はいろんなところから盗むんですよね。『あぶない刑事』でやっていたのは、ドアをバーンと開けて敵のアジトに入って銃を構える時に、必ずしゃがむこと。これは『007 ドクター・ノオ』のジェームズ・ボンドです。
カジノでバカラをやっていて、自分の部屋に戻る。すると、部屋の奥から物音がするんで、まず拳銃を出し、ドアを開け、しゃがむ。ドアがいきなり開いたら、相手は自分の目線の高さを見るわけですよね。ところが、しゃがんでいるとすぐに見えない。ほんの短い時間ですが、その間にこちらは先手を打てるわけです。だから、しゃがんで入る。それが僕には魅力的に見えました。
それから、銃を構える時に正面に構えることは、なるべくしませんでした。斜めに構えることで、相手の弾丸が当たる面を少なくした方がいいだろうと。そういうことを考えながらやっていくのが面白かった。
いろんな映画を見て、いろいろ盗む。僕のお芝居は多分ほとんどどこかの盗作ですよ。スティーブ・マックイーンの『ブリット』とか、これ以外にないという車の降り方をするんです。そういうのを参考にしました」
演技経験のない状況から俳優のキャリアを積んできた舘にとって、石原裕次郎や渡哲也の姿が一つの目標となる。