韓国の漬け物「キムチ」をめぐって、中国と韓国の論争が激化している──。中国四川省眉山市はキムチの中国語表記である「泡菜(パオツァイ)」と呼ばれる地元特産の食品について国際標準化機構(以下、「ISO」)の承認を受け、国際的な食品規格を制定し、「キムチは中国発祥だった」と大々的に宣言した。これに対し、韓国側が猛反発、官民挙げて「中国は文化泥棒」と非難の大合唱となっている。
中国共産党で情報、治安、司法、検察、公安などの部門を主管する党政法委員会も負けじと「キムチは、中国5000年の歴史の文化遺産だ」とやり返すなど、「キムチ論争」は国家間の批判の応酬に激化しつつある。
泡菜はダイコンやニンジンなどの野菜を塩漬けにした中国の漬物だが、中国メディアによると、眉山市の泡菜の歴史は約5000年前から脈々と続いている。2020年1月~10月までの間に160億元(約2500億円)もの売上高を誇り、同市では「中国泡菜食品国際博覧会」と称するイベントが開かれるほどだ。
「中国キムチ」が国際認定されたことで、党機関紙「人民日報」傘下の国際専門紙「環球時報」は11月下旬、「中国がキムチの国際基準を作った」として「キムチ宗主国と自慢している韓国には屈辱的」という見出しで記事を掲載した。これに対して、韓国紙「中央日報」は「韓国のキムチと中国のキムチは別物だ」「中国は韓国のキムチ文化を侮辱した」などと中国側の動きを非難している。
年を越しても、キムチ論争は収まる気配を見せず、韓国誠信女子大学の徐敬徳教授が1月18日付米紙「ニューヨーク・タイムズ」に「韓国のキムチは世界の人のためのもの」というタイトルを付けた意見広告を掲載。そこには「キムジャン(キムチの漬け込み)文化は2013年国連教育科学文化機関(ユネスコ)人類無形文化遺産に登録された。歴史的に数千年間、韓国の代表食文化として継承してきた。現在は世界の人々が愛する醗酵食品に位置づき、韓国のキムチは世界の人のものになった」という説明があった。