緊急事態宣言が再び発令されるにあたり、対策として営業時間の短縮要請が飲食店などに出されているが、その協力金をめぐって不満が爆発している。東京都は給付金の対象を中小事業者に限っていたが、18日に大手も対象にすると方針を転換。だが、この営業時間短縮要請でも、狙ったほど人出は減少していない。ライターの宮添優氏が、1店舗あたり1日6万円の支給について、飲食店主たちが考える本音を聞いた。
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新型コロナウイルス感染拡大の第3波により、通常であれば仕事帰りのサラリーマンでごった返しているはずの東京・新橋の歓楽街は閑散としている。客引きや酔客で賑わっていた小径には人の姿もほとんど見られず、飲食店の看板からは灯が消え、シャッターは降りたままだ。緊急事態宣言に伴う、国や自治体からの「要請」の結果ではあるが、当然、全ての店が休業を受け入れているわけではない。
「一律の協力金の話もあるが、うちは全く受け入れられない。今は看板を消して、直接問い合わせのあった客だけを入れる形で営業しています。闇営業? そうかもしれないですね。協力金をもらっても損する店と、焼け太りする店が出てきているのに、その実情すら報じられないんです」
新橋など都内の繁華街で複数の居酒屋を営む後藤昌志さん(仮名・40代)が不満を訴えるのは、緊急事態宣言下で営業時間を短縮する店に1店舗あたり1日6万円の休業協力金が支払われるという、政府が掲げた指針についてだ。基本的には、午後8時以降の営業の自粛などが求められているが、アルコールを提供する店で午後8時以降に営業できないというのは、収入の大部分を失うことに等しいという。一番の問題は「一律」とされたことだという。
「うちの店は、一店舗あたり大体1日の売り上げが50万円以上で、満卓になれば40人以上入る規模の店ばかり。だから、1店舗あたり6万円をもらっても、家賃や人件費が上回り焼け石に水。ところが、同じビルに入る小料理屋は満卓で10人も入ればいい方で、スタッフも2人だけ、1日の売り上げは10万円よりもずっと下。だから何もしないで6万円だと、逆に得をするんです。都心でもこうだから、家賃の安い地方などはさらに『得』。これじゃあ納得できない」(後藤さん)
実際、緊急事態宣言中でも、後藤さんが経営する新橋以外の店を訪れる客は増え続け、1日30万円近く売り上げることもある。もちろん、売り上げの多くは午後8時以降の営業によって生まれるもので、都内某所の歓楽街にある別店舗は連日連夜の満席という盛況ぶり。売り上げが普通に営業していた昨年末頃を超え、そこで出た利益を他店舗の運営代やスタッフの賃金に回していると話す。