英米をはじめ各国でコロナワクチン接種が始まり、日本では米ファイザー製のワクチンが2月中旬にも承認される見通しだ。だが、多くの国民が接種できるまでの道のりは長い。
厚労省が示しているスケジュールによると、2月下旬から医療従事者への接種が開始され、次に基礎疾患がある人や65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い順に接種が始まる予定とされている。
それ以外の一般への接種開始は5月以降になる見込みで、国民全体にワクチンが行き渡るのはずいぶん先になりそうだ。
そうしたなか、“先駆けて”ワクチン接種をしようとする人たちがいる。ジャーナリストの今西憲之氏は1月中旬、ある人物のコロナワクチン接種現場に立ち会ったという。今西氏が語る。
「知り合いの不動産会社社長から『中国製ワクチンを接種してもらえるからついてきてくれ』と言われ、大阪市内の繁華街にあるクリニックに同行しました。
そこには日中両国を股にかける中国人コンサルタントが手配したシノファーム社のコロナワクチンが保管されており、同じくその中国人と知り合いという医師が社長にワクチン接種を行なうのを目撃しました」
シノファーム(中国医薬集団)は中国国有の製薬会社。中国では2020年7月から同社製ワクチンの接種が開始されたが、日本では未承認。日本政府はファイザーのほか米モデルナ、英アストラゼネカとの間でワクチン供給の契約を結んだが、中国製は含まれていない。
「不動産会社社長は63歳の男性で呼吸器に疾患がある。彼は『コロナになったら商売にならないし命も危ない。何もしないで感染するより、1回3万円、2回で6万円の未承認ワクチンで感染を防げるなら安いもんや』と言っていました。中国人コンサルタントも、ワクチンを広めたい目的があり、このような値段設定にしているのでしょう。
接種の前には『同意の上で接種する』という内容の書類にサインさせられていて、そこには『後は自己責任です』といった記載もありました」(今西氏)