菅義偉・首相の“棒読み演説”や後手に回るコロナ対応を専門家に責任転嫁する姿勢が、国民の失望を招いている。1月18日の施政方針演説では、文章の末尾になるほど早口で声が小さくなる様子に、自民党議員・官僚たちからさえ「もうダメだ」という声が上がった。
菅政権のコロナ対応は世界と比べて明らかに失敗している。それを示すのが「医療崩壊」だ。
菅首相は緊急事態宣言にあたって「必要な方には必要な医療を提供いたします」と約束したが、自宅待機中の死亡者が相次いでいる。
【菅語録】「国によって医療提供体制が違う」
日本の人口当たりの病床数は先進国で最も多く、新型コロナウイルスの感染者(人口比)は米国の30分の1、欧州諸国と比べても10~20分の1という非常に少ないレベルだ。それなのになぜ、入院できない自宅待機者が東京で1万人近くに達し、医療が逼迫しているのか。
それを記者会見(1月13日)で質問されると、菅首相は語った。
「国によって医療提供体制の状況だとか、医療に対しての考え方も違うというふうに思っています」
どう違うかは語らない。
日本の全医療機関の約8割は民間病院だが、民間は2割しかコロナ感染者を受け入れていない。現在の医療法では、政府は医療機関に感染者の受け入れ(病床転換)を強制することができないから、ベッドが空いているのに入院できない。
会見で医療法の見直しについて追加の質問が出ると、答弁資料になかったのか、菅首相は“パニック”になった。
「政府としては、ベッドは数多くあるわけでありますから、それぞれの民間病院に一定数を出してほしいとか、そういう働きかけをずっと行なってきている。それと同時に医療法について、今のままで結果的にいいのかどうか、国民皆保険、そして多くの皆さんが診察を受けられる今の仕組みを続けていく中で、今回のコロナがあって、そうしたことも含めて、もう一度検証していく必要があると思っています。それによって必要であれば、そこは改正するというのは当然のことだと思います」
後半部分は支離滅裂、意味不明だ。
“国民皆保険を見直す”と受け取れることを翌日に問われた加藤勝信・官房長官は「総理のおっしゃったことに尽きる」と述べて、意味のわからない説明が“伝染”していった。