新型コロナウイルスの感染拡大を食い止める“救世主”として期待を集めるコロナワクチンだが、中には待ちきれず、“裏道”を使って接種しようとする人たちがいる。
1月1日付の毎日新聞は「中国『闇』ワクチン流入 日本の富裕層接種」と題した記事を1面で掲載。東京・品川区のクリニックで昨年12月、「大手IT企業社長とその妻」がシノファーム製ワクチンを接種した現場レポートを掲載した。
シノファーム(中国医薬集団)は中国国有の製薬会社。中国では2020年7月から同社製ワクチンの接種が開始されたが、日本では未承認だ。日本政府はファイザーのほかアメリカの「モデルナ」、イギリスの「アストラゼネカ」との間でワクチン供給の契約を結んだが、中国製は含まれていない。
大阪市内のクリニックでもシノファーム製ワクチンを接種する不動産会社社長の存在が確認されており、その接種現場に立ち会ったというジャーナリストの今西憲之氏によれば、予約リストには有名上場企業の社長や役員のほか、大御所芸能人と同姓同名の名前もあったという。
副反応が出たら……
厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課によると、「医師が患者に使う分か、自分が自分で使う分については医薬品医療機器等法(旧薬事法)の手続きを踏めば未承認ワクチンの輸入は可能」だが、「他人に販売・譲渡した場合は違反となり、罰則もある」という。
さらに、「(中国製ワクチンについては)1月19日時点で輸入の手続きが確認されたものは1件もない」(同前)とのこと。そうであれば、大阪や品川のクリニックで用いられた中国製ワクチンは脱法的な方法で持ち込まれた可能性が高い。中国のワクチン事情に詳しいライターが入手のカラクリをこう明かす。
「中国共産党幹部とつながりのある人なら、シノファームのワクチン入手はそれほど難しくない。問題は日本への持ち込みだが、それもやりようがある。日本の医療機関が研究目的で温度管理しながら国内に空輸。その一部を、闇接種の仲介者が医療機関から回収して確保しているようだ」