しかし、カク氏は、声優業界に身を置くビジネスパーソンとして、さらなる一手が必要だと考えている。
「中国で開催されるイベントの多くは、声優さん個人によるものです。しかし、中国で日本の声優が支持される理由の根底には、彼らが出演したコンテンツ自体の人気があります。作品絡みのイベントであれば、ファンが楽しめる内容もさらに増えますし、日本側の優れたイベント企画力も存分に発揮できるのではないでしょうか。
もちろん、声優さんのソロイベントは比較的スケジュールが調整しやすいというメリットがあります。ですが、中国現地でさらに日本のアニメや声優のファンを増やしていくためには、個人のイベントだけでなく、複数の声優さんが登壇するような作品絡みのイベントを開催していくことが必要です。我々は中国の声優プロダクションとして、アフレコのオファーに加えて、日本の声優ビジネスの中国展開を協力していくことも務めであると感じています」(カク氏)
花澤をはじめ、日本の声優たちは海の向こうでも大勢のファンを抱えている。作品を通して、声優ごとの「点」の盛り上がりを「線」へと繋げていくことができれば、また日本の声優ビジネスは新たな地平を切り開くのかもしれない。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)