共和党議員の9割は、トランプ氏の報復をおそれて弾劾反対に回った(dpa/時事通信フォト)

共和党議員の9割は、トランプ氏の報復をおそれて弾劾反対に回った(dpa/時事通信フォト)

 影響を受けるのは民主党ではなく共和党の議員たちだ。もともとトランプ氏に批判的な層はトランプ・チャンネルを見ないだろうし、もともとトランプ支持の人たちは、どうせ民主党に投票することはない。だが、共和党議員の場合、トランプ・チャンネルで好意的に取り上げられるか、批判的に取り上げられるかによって選挙の当落が大きく左右されることになる。そして、トランプ氏が個々の議員を応援するか叩くかは、政策や人柄で決めるわけではない。大統領任期中にそうだったように、自分に従うか従わないかで線引きされることになるだろう。

 トランプ氏はビジネスマンである。市場に参入するなら、最短でシェアを獲得しようとするし、シェアを拡大し、独占する戦略を立てるのが好きだ。テレビのバラエティー・ショーで成功した手法を参考に、自分の番組で共和党候補たちを競わせ、自分で勝者を決め、勝者には自分の支持者たちに呼びかけて選挙支援をさせる。そうしたシステムが完成すれば、よほど選挙に強い議員以外は、トランプ・チャンネルに逆らうことはできなくなる。一部報道にあるような新党結成より、よほど早く低コストでトランプ王国を築ける戦略だ。

 おそらく狙いは、4年後の大統領選挙ではなく2年後の中間選挙である。アメリカの中間選挙では、政権党が議席を減らすというジンクスがある。コロナや経済、外交で難題を抱えるバイデン政権に対する批判が高まっている可能性は十分ある。そのタイミングでトランプ王国が建国宣言し、トランプ氏が不死鳥のように再び羽を広げるシナリオは、それほど荒唐無稽ではない。

 ただし、これはあくまで政局的な予測でしかない。政治を選択するのは有権者である。2年後のアメリカ国民が再びトランプ氏の独裁を許すようなら、アメリカは当分、復活しないのではないか。

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