一丸となってコロナと戦っていたはずが、いつの間にか人と人とがいがみ合っている。コロナを「とても怖がる人」と「全く怖がらない人」の対立は、それほど深刻である。さらに多くの中間派からすると、そのどちらもが“ちょっと付き合いに困る”というのが本音だろう。いったい彼らとどう折り合いをつければいいのか。そのヒントを探った。
「怖がる派」と「怖がらない派」の分断が止まらない。その象徴がマスクである。公共の場で“ノーマスク”を貫く人たちがたびたび問題になる一方、反対に「不織布マスク以外のマスクをしていると注意する」という“不織布マスク警察”も現われ、双方ともより過激になっている。
現実に職場、友人同士、家庭などで、「なぜこんなに無頓着なのか」、あるいは「なぜここまで過剰に反応するのか」と戸惑ったことは誰しもあるはず。
感染症対策に気をつけている人からすると、無頓着な人とは関係を閉ざしてしまえば楽だが、現実にはそうもいかない。「夫婦は気をつけているが、息子は毎晩飲み歩いている」(50代、金融業)と、家族でも意識の差があるのは珍しくなく、全く怖がらない人とも関係を持たなければならない。逆もまたしかりである。「仕事で出かけているだけなのに、妻から『むやみに外出しないで』と叱られる」(40代、製造業)という人もいる。
自分と考え方が異なる人々と、どう接していけばいいのだろう。
メディアで慎重な行動をするようにと注意を呼びかけている「怖がる派」の識者たちは、実生活で対立派に出会ったとき、どう折り合いを付けているのか、聞いてみた。
角の立たない伝え方
経済ジャーナリストの町田徹氏は、「『勝負の3週間』は明らかに敗北した…後手後手すぎる菅総理の『コロナ対策』」(現代ビジネス)といった記事を執筆、政府のコロナ対応について警鐘を鳴らしてきた。町田氏には、「怖がらない人」に接したときのルールがあるという。
「日常から妻と別のテーブルで食事をするくらい気をつけていますし、私生活や仕事でも、その部屋に何人滞在できるかということには気をつけています。なかでも“3密”になりがちな喫煙室は人数制限が課されていますが、超過することを気にしないで入って来る人もいる。そういう場合には、ニコッと笑いかけて『人数制限がありますよ』と伝えたりしています。キツイ言い方にならないように注意しています」