米国のマサチューセッツ工科大学 (MIT) の陳剛(Chen Gang)教授が1月中旬、電信詐欺、虚偽申告の容疑で、米司法当局によって逮捕されていたことが明らかになった。陳氏は米エネルギー省などから1900万ドルの助成金を受けて研究を行っているにもかかわらず、中国の組織から約2900万ドルの資金を受け取っていた。このうち、中国人民解放軍と深い関係がある中国南方科技大学 から1900万ドルを受け取っており、情報漏洩などの疑いがもたれている。司法省によると、これらの容疑が立件されれば、最高20年の懲役、最高25万ドルの罰金が科されることになるという。
この件について中国政府は「中国は道徳と倫理、誠実さをもって米中人材交流を合法的に進めている。これに対して、米国側は政治的な意図をもって、米中間の研究交流を妨害しようとしている」などと述べて、米側の動きに強く反発している。
米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」などによると、陳氏は中国生まれで、米国に帰化。2013年からMITで教授として、同大学のパパラルド・マイクロ・ナノ工学研究所の所長などを務めていた。
陳氏は2012年以降、ニューヨークの中国領事館関係者と定期的に接触し、MITでの研究内容などを漏らして、その見返りとして、金銭的な報酬を受け取っていたという。また、中国の海外ハイレベル人材招致計画である「千人計画」の高級海外人材として推薦されて、中国南方科技大などの研究機関の特別研究員として非常勤で講義するなどしていた。
米エネルギー省の助成金を受ける際に、他の国からの資金的な援助がある場合、申告しなければならないが、陳氏は意図的に報告しなかった「虚偽申告」の疑いをかけられている。また、中国から陳氏への送金先を中国内の住所を登録した銀行口座に振り込ませるなど悪質な「電信詐欺」容疑に問われている。