自粛生活が続く中、在宅勤務の息抜きや溜まった疲労を取りたい人たちで“サウナ人気”に拍車がかかっているという。緊急事態宣言下、第3次ブームといわれるサウナはどうなっているのか──。ジャーナリストの山田稔氏が体験レポートする。
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一昨年当たりから空前のサウナブームが続いている。東京五輪が開催された1960年代、そしてスーパー銭湯が全国各地に登場した1990年代に続く第3次サウナブームだというのである。
日本サウナ総研の「日本のサウナ実態調査2020」によると、年間のサウナ人口は約2761万人にも達するという。サウナ専門の検索サイトでは4500件ほどが検索可能で、全国にあるサウナの総数は約5000軒と言われている。
とはいえ、いまは新型コロナの緊急事態宣言下である。さすがのサウナ人気も下火になってきているのだろうか──。何はともあれ、行ってみるしかない。雪予想が外れ、冷たい雨がそぼ降る1月後半の日曜日、東京・荻窪にある人気施設「なごみの湯」に出かけてみた。
寡黙なサウナタイムで瞑想にふける
入り口の自動ドアから中に入ると、正面の壁に「ご来店に際してのお願い」としてマスク着用、消毒の徹底などの注意書きが掲示されている。受付前に手を消毒し、自動測定器で検温。36.5℃、異常なし。入館料にはタオルセット、館内着、サウナマット、アメニティが含まれていた。
4階の脱衣所で着替え、同フロア内のサウナ、温泉、大浴場を楽しむ。まずは大浴場で頭と体を洗い身ぎれいにして最初のサウナに向かう。
室内に充満させたスチームで発汗を促すサウナで、ほどよい温度がウォーミングアップにちょうどいい。室内には7、8人がスペースを空けて座り、誰も声を発しない。寡黙なサウナタイムだ。
10分ほど汗を流した後、外気浴スペースでクールダウン。中央線の発車チャイムの音が流れてくる。次は隣にある温泉に。アルカリ性の泉質。39度ほどなので、のんびりと浸かる。芯から温まったところで、再び外気浴。ゆったりとした時間が流れていく。
次のサウナへ向かう。今度はサウナストーブから熱い蒸気が立ち上る高温サウナだ。こちらの利用者は5人ほど。みるみるうちに汗が出てくる。いやあ、気持ちがいい。7、8分で退室し、大浴場へ。改めて眺めてみるとさまざまな浴槽がある。超高濃度炭酸泉、ジェットバス、細かい気泡が噴出するバイブラバス、そして水風呂。
超高濃度炭酸泉に浸かってみる。お湯に溶け込んだ炭酸ガスが血流を促進させるという。幸い、誰も入っておらず独占状態だ。血流が良くなるよう念じて目を閉じ、しばし瞑想タイム。
このフロアにあるサウナは全部で3種類。最後に入ったのは、ミストサウナ。蒸気で充たされた低温サウナで、中央にたっぷりの塩が用意されている。片手に大盛りの塩をつかんで、体に塗りたくる。
1席離れた隣の人が床に塩を置いて足の裏にも擦りこんでいるので、さっそく真似をしてみた。塩漬けにされたカラダから汗がにじみ出てくる。調理前の魚にされた気分? これまた心地よいひと時だった。