アイドルグループ・乃木坂46のメンバーで新センター・山下美月(21才)に注目が集まっている。世代交代が進む同グループで、彼女がセンターに抜擢された意味とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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27日に発売された乃木坂46のシングル『僕は僕を好きになる』でセンターを務めるのは、3期生の山下美月さん。乃木坂46の象徴的存在だった白石麻衣さんが卒業後、初のシングルであり、初めてセンターを務める山下さんの両サイドを同じ3期生の梅澤美波さんと久保史緒里さんが固めることもあって、早くも「次のエース」という声があがっています。
山下さんの“初センター”が発表されたのは11月15日放送の冠番組『乃木坂工事中』(テレビ東京系)。その後、11月25日の『ベストアーティスト2020』(日本テレビ系)での初歌唱から、1月29日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)までの2か月あまり、すでに何度もセンターでの姿を披露しています。
目を引いたのは、山下さんがセンターで歌って踊る姿を見た一部のテレビマンや視聴者から、「AKB48時代の前田敦子を思い出した」という声があがっていたこと。山下さんは2016年のグループ加入当初からしばらくの間、「前田敦子に似ている」と言われていた時期がありました。ここにきて、かつての前田さんと同じセンターに立ったことで、その声が再燃しているようなのです。
再燃した「前田敦子に似ている」の声は、山下さんや乃木坂46にとってどんな意味があるのでしょうか。
「清楚」の中で際立つ「あざとかわいさ」
まずテレビマンが「前田敦子似」と言った理由として考えられるのは、乃木坂46が世代交代の真っただ中であること。これまでグループをけん引してきた1期生がこの3年間で13人も去り、とりわけ昨年10月に白石さんが卒業したこのタイミングに注目しているようなのです。
また、各局にとって乃木坂46は貴重なタレントではあるものの、前田さんが在籍していたころのAKB48ほどテレビ番組への出演は多くありません。これはグループのコンセプトによるところもあるため、一概に優劣はつけられないものの、テレビの現場では「老若男女が名前と顔が一致する国民的アイドルというポジションには至っていない」という見方だったのです。
山下さん個人に目を向けると、「清楚」「上品」「さわやか」などのグループイメージがある乃木坂46の中で彼女は異色の存在。アイドルであることにどこか自覚的な振る舞いを見せ、「あえてあざといかわいさを押し出す」などの小悪魔的な表情を見せられることで知られています。
実際、昨秋に『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)の初回放送に出演したほか、今月30日には新企画「あざとい女性は幸せになれるのか?」がテーマの連ドラで主演を務めることが発表されました。デビュー当時にさかのぼっても、「前田敦子に似ている」と言われたのは見た目だけでなく、すでに完成されたアイドルのような華があったから。さらに、それでいてどこか生きづらさのようなものを抱えているところも含めて、「似ている」という声があがっていたのです。
だからこそテレビマンたちはセンターに立った山下さんの姿にかつての前田さんを重ね合わせ、「世代交代中の乃木坂46が、かつてのAKB48のようになってくれたら」という思いがあるのかもしれません。