ここ数年、大手事務所から独立する芸能人が後を絶たない。そうした中で、吉本興業は闇営業問題が発覚した2019年に所属芸人の大量退社が取り沙汰されたが、結局辞めた有力芸人はいなかった。しかし、1月30日付でキングコングの西野亮廣がマネジメント契約を終了。1か月ほど前には、オリエンタルラジオの中田敦彦と藤森慎吾も独立しており、2000年代に一世を風靡した芸人が相次いで吉本を去った。
西野や中田は近年、従来のお笑い芸人のようにテレビを中心に活動するのではなく、自らビジネスモデルを構築し、多角的に仕事をしていた。デビュー直後から大ブレイクして“テレビの申し子”と思われた彼らは、どうして路線変更したのだろうか。テレビ局関係者が話す。
「2組とも、最速のスピードで売れましたよね。NSC在学中にキングコングは『NHK上方漫才コンテスト』の最優秀賞を取り、オリラジは『M-1グランプリ』の準決勝まで勝ち上がった。ゴールデン帯への進出も早く、キングコングは『はねるのトびら』(フジテレビ系)のメインとして視聴率20%を取った。オリラジは数字こそよくなかったですが、『週刊オリラジ経済白書』(日本テレビ系)などデビュー3年目で冠番組を持ったし、2組とも異例の大出世で、2000年代を象徴する芸人だったことは間違いない。しかし、彼らの前にはダウンタウンという大きな壁が立ちはだかっていて、結局そこを超えられていない。現在の彼らの活動のルーツはそこにあると思います」
1980年生まれの西野、1982年生まれの中田はダウンタウンの影響をモロに受けた世代の芸人である。1990年代、松本人志と浜田雅功は『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)などの冠番組を持ち、お笑いで革命を起こしていた。テレビ番組だけでなく、松本は著書『遺書』が200万部、『松本』が250万部を超え、浜田は歌手として『WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント』(H Jungle with t)で200万枚を突破。社会現象になった。
「西野や中田もお笑い界での大成功者ですよ。ただ、彼らはいくら山を登っても、ダウンタウンという山頂には届かないと実感したのではないでしょうか。西野はよく『視聴率20%を取っても上に何人もの大物がいて絶望した』と語っています。そこで、テレビのひな壇ではなく、絵本作家やオンラインサロンなど、新たな分野での成功を目指した」(前出・テレビ局関係者)