非常事態には、人間の本性が炙り出されるものだ。コロナ禍も例外ではない。緊急事態宣言で、飲食店が時短営業になり、外食に制限が設けられたいま、他人に「自炊しろ」と自分の価値観を押しつける“自炊警察”が登場しているという。
とはいえ、外食を否定して、自炊を強要する人たちは、コロナ禍で急に現れたわけではない。2020年、ツイッター上で「総菜コーナーで小さな子供を連れた女性が、見知らぬ高齢男性に『母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ』と言われているのを目撃した」という投稿がされ、テレビのニュース番組でも取り上げられた。
ポテトサラダは一見簡単そうに見えるが、工程が多く、実は手間のかかる料理だ。それを「ポテトサラダくらい」と言うのだから、その男性は料理経験に乏しい人だったのかもしれない。
お笑いタレント・ロンドンブーツ1号2号の田村淳(47才)はラジオ番組で“自炊警察”に対し、こう語った。
「他人のライフスタイルに物申す系の人いっぱいいるじゃないですか。『自炊しろ! 自炊すればいいじゃないか』っていうのを振りかざしてくる人たち怖くないですか。ホント『自分の価値観押しつけ族』多くないですか?」
「自炊警察」や「ポテトサラダおじさん」を突き動かす原動力は何なのか。
生活史研究家の阿古真理さんはこう分析する。
「外食はハレの場ととらえられる傾向があります。自炊を強要する人には、『いまは楽しんではいけない』という意識があるのかもしれません」
さらに、日本人の自炊のハードルは高すぎるという。