国会ではコロナ対策を謳った19.2兆円の第3次補正予算が与党の賛成多数で成立した。菅義偉・首相は、野党からどんなに追及されても、1兆円あまりのGo To予算を引っ込めようとしなかった。Go To予算は、自らを首相にしてくれた二階俊博・自民党幹事長(全国旅行業協会会長)の大事な利権なのだ。
同様に「これは本当に必要なのか」と疑いたくなる事業にコロナ対策予算が充てられているケースも少なくない。
各省が3月まで(年度内)に必要な「コロナ対策」として計上した補正予算の中身はどうなっているのか。たとえば、総務省や外務省はこうだ。
●マイナンバーカードを用いた地方公共団体のオンライン手続の推進 249.9億円
●外交・領事実施体制のデジタル化の推進 45億円
コロナ対策としての位置づけもさることながら、これだけ思い切った金額を要求する根拠は何か。
「コロナ禍においては、オンラインで完結する手続きは重要なこと。デジタル化推進の一環としてマイナンバーカードもできるだけ早く取りかかる必要があり、緊急性も高いと考えております」(自治行政局地域力創造グループ地域情報政策室)
「旅券の申請システムをオンラインに変えるには、非常に時間がかかる。デジタル化は政府の優先事項であり、今後、状況が変わった時を見据えて前広で準備する必要があります」(領事局旅券課)
Go Toトラベル、Go Toイートで巨大利権を手にした国交省、農水省の言い分も聞いておこう。
「我々の立場から申し上げますと、旅行業はいまだに影響を受けているので、需要の回復という意味でGo Toトラベルは有効な手段だと思っています」(観光庁)
「補正予算では感染拡大防止に十分な予算が確保されているとのことなので、Go Toイートについては地域の感染状況を見極めつつ対処していく」(食料産業局食品製造課外食産業室)
自分たちの所管さえ見ておけばいいという縦割り根性、決まったことは変えないという硬直性は、役人の不治の病なのか。
政府が腐れば地方も腐る。コロナ対策として政府が配る地方創生臨時交付金(第3次補正で1.5兆円。今年度総額4.5兆円)の使い道にも怪しい計画が目白押しだ。