臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、東京・銀座のクラブなどで深夜まで飲食をしていたことが発覚し自民党を離党した松本純衆議院議員について。
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ベテラン議員ともなれば嘘をつくのも上手くなるのだろうか?“永田町のマツジュン”と呼ばれていた自民党の松本純衆院議員は、カメラの前で巧みに正直者を演じていた。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言中、イタリアンレストランを出た後、銀座のクラブを深夜までハシゴしていたことが週刊誌に暴露されたが、当初は閉店後の店に陳情と要望を聞くため、一人で訪れていたと釈明したのだ。
だが実際は、後輩議員の田野瀬太道文科副大臣と大塚高司国対副委員長も同席していたことが判明。嘘をついた理由を「有望な彼らのこともあります。何としてもかばいたいというそんな思いから、一人で行ったと説明させて頂いた」と謝罪。だが、そもそもこのタイミングでの発表は、同席した2人の議員の写真が週刊誌により明るみに出たため。「これはいったいどういうことかと問い合わせがありまして」と返答する始末だ。緊急事態宣言で自粛を強いられている国民を呆れされる答弁ばかりが飛び出した。結局2月2日、3人は自民党に離党届を提出した。
嘘がバレた後の会見では、メモを握りながらも両手の指が落ち着かな気に動く。質問には身体を反らし、記者と微妙に距離を取る。視線は記者達の顔の間に向け、身体は揺れる。「え~、あの」と言い淀み、事実を話そうとする前に咳をする。これらの仕草から、不安や動揺が大きいことがわかる。巧みに嘘をついていた最初の会見とは大違いだ。
改めて最初の会見映像を見てみると、不自然さが際立ってくる。「その時は一人だったのか」との質問には間髪を入れず「一人です」と答え、「複数での会食は」と聞かれると「ありません」と即答。「訪れた店は時短営業せずに通常営業だったのか」と問われると「店の閉店後で、お客さんはいないし誰もいない」と食い気味に言い切った。あまりの即答ぶりと短い言葉による断言が続く。質問した記者にまっすぐ射るような視線を送り、瞬きもしない。威圧するかのようにわずかに顎を上げ、身体が揺れることもなかった。