阪神のポジション争いが早くもヒートアップしている。主戦場は外野手だ。1年目からレギュラーをつかみ、2年連続の盗塁王を獲得した近本光司がセンター当確、レフトには、韓国球界で本塁打と打点の二冠王に輝いた新外国人・ロハスが就くことが確実視されていることから、残る椅子は1つ。3人目の外野手は誰になるのか。
滑り込み3位の最右翼はもちろん糸井嘉男だ。実績は言うまでもないが、昨年はケガに泣いて打率.268、2本塁打、28打点と低迷した。4年総額16億円(推定、以下同)の契約が満了し、藤川球児、福留孝介、能見篤史のように引退・自由契約の危機にあったが、年俸の減額制限を超えるダウン提示を受け入れ、1億8500万円+出来高で残留した。2億1500万円というダウンは球団史上最大だった。
その糸井はキャンプ・インと同時にフルスロットルだ。2日目にはランチ特打で42スイング中12本の本塁打を放ち、39歳という年齢を感じさせない。糸井を発奮させているのが、近大の後輩でもあるドラフト1位の新人・佐藤輝明の存在だ。関西大学野球リーグで通算14本塁打の記録を持つ佐藤は、187センチ・94キロという恵まれた体格を誇り、ソフトバンク・柳田悠岐ばりのフルスイングで規格外の長打力を見せている。キャンプ初日にフリー打撃で89スイング中9本の柵越えで才能の片鱗を見せたが、翌日に先輩の糸井が上記のパフォーマンスを見せると、同じ日に120スイングで25本塁打という、さらに上を行く結果を残した。しかも、バックスクリーンを飛び越える推定145メートル弾というオマケ付きで、在阪スポーツ紙の1面を飾った。
糸井と佐藤の火の出るようなポジション争いは『週刊ポスト』(2月8日発売号)でも「球界のチーム内争い」特集で詳報しているが、ここに参戦する有力候補はまだまだいる。
「佐藤の加入でタイガースの外野争いは熾烈になった。体格とパワーのある佐藤は、フルスイングが注目されているが、逆方向にもホームランが打てる器用さがある。矢野(燿大)監督も、“高さで飛ばせるのが魅力”とべた褒めだった。メディアを賑わせているのは佐藤や糸井だが、ここに髙山俊、陽川尚将、井上広大らが加わって、レギュラー争いは混沌としている」(阪神OB)