ライフ

乙羽信子、竹久夢二 憧れから始まる禁断の「徒弟の愛」事件簿

夢二と出会ったとき18才だった彦乃は足しげく『港屋絵草紙店』を訪れ、絵の指導を願い出たという(イラスト/ドナ)

夢二と出会ったとき18才だった彦乃は足しげく『港屋絵草紙店』を訪れ、絵の指導を願い出たという(イラスト/ドナ)

 フィクションの世界で描かれることが多い“禁断の愛”。最近では、韓国財閥の令嬢と北朝鮮の軍人の愛を描いた韓国ドラマ『愛の不時着』が大人気となった。

 そんな“禁断の愛”は、フィクションの世界だけのものではない。現実世界でも、禁断の愛にまつわる事件が起きているのだ。そこで、作家・川奈まり子さんと漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんの視点を混じえ、日本社会を揺るがした愛の形を振り返る。

憧れから始まる徒弟の愛

 尊敬する気持ちは、やがて、隠せぬ恋心へと変わる。身近な男性よりも惹かれ、心奪われる師弟関係の奥深さ──。

【乙羽信子】

 宝塚歌劇団で人気を博し、映画女優へと転身した乙羽信子(享年70)。脚本家・映画監督の新藤兼人(享年100)とは「センセ」「乙羽」と呼び合い、長きにわたって公私を共にするパートナーであったが、ふたりが結ばれた当時、新藤には妻がいたため27年間の長き不倫関係となった。

 晴れて夫婦となったのは新藤が離婚して6年後の1978年。16年間の結婚生活だった。晩年、乙羽が末期の肝臓がんで余命宣告を受けるなか、最後に挑んだ映画『午後の遺言状』(1995年公開)は、新藤の一心な愛が注がれた“葬送作”となった。

「立派だなと思うのは、新藤監督が先に奥様と離婚してから乙羽さんと結婚したことですね。しかも離婚後、奥様が亡くなられた後に。『好きな女ができたから別れてくれ』なんて、最近ありがちな爆弾発言で修羅場を招くなんてことも起こさなかった。もちろん乙羽さんもがまん強かったと思いますが、乙羽さんにしてみたら仕事の現場で女優としての自分のいちばんの理解者である男性といつも会える、それだけで満足だったんじゃないかと思うんです。

 監督と女優は一緒に作品を作っていく戦友のようなもの。お互い、戦いをくぐり抜けた同志として強い結びつきがあったと思います」(川奈さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン