タレントの井上和香さん(40)のコロナ感染が発覚したのは2020年12月29日。年の瀬の忙しさ、年末年始の医療機関の休業など難しいタイミングだったことはもちろんだが、彼女のケースで一番難しかったのは家族との関係だ。夫(映画監督の飯塚健氏)と5歳の娘はどうなるか、どうするか。井上さんはまずそこで立ち止まってしまった。
高熱や咳に苦しみながら、5歳の娘をおいてはホテル療養できないと判断し、自宅療養を選んだ。家族全員、マスクをして家じゅうアルコール消毒する生活を始めたものの、すぐに夫の感染が判明。さらに数日後には娘も感染してしまう。
依然、猛威を振るうコロナ第3波では、高齢者の発症、入院、そして死亡がこれまでに比べて格段に増えている。それは、若い世代が感染を広げてそれを家庭に持ち込み、家庭内感染を繰り返しているからだと推測される。誰もがいつ感染してもおかしくない日常で、感染した際に家族とどう接するか、家庭生活をどう維持するか、井上さんの体験は貴重な参考になる。『週刊ポスト』(2月8日発売号)では、17ページにわたってコロナ後遺症を特集しているが、取材に答えて長引く咳などを訴えた井上さんに、改めて家庭内感染を防ぐ難しさと、後遺症が続くコロナの怖さを聞いた。
* * *
検査でコロナ陽性と診断されたのが昨年12月29日でしたが、解熱剤を飲むと熱が下がり、だいぶ楽になりました。その時点では入院するほどひどい症状でもなかったので、自宅療養することにしました。
主人と長女も検査を受けましたが、主人は陽性で娘は陰性。私は発症から4日ほどのところで、だるさや咳が止まらなくなりました。息苦しさもあり、一日中寝て過ごす日々に。主人ははじめは無症状だったので娘の面倒を見てくれていましたが、風邪のような症状が出始めたので、そこからは私が娘の世話をしました。
娘を預けられる親族もいなかっので、3人で過ごすしか選択肢がなく大変でした。娘は元気なので、ベランダに出たり、映画や動画を観たり、私が横になっていても目の届く範囲で遊ばせていました。炊事や洗濯、掃除といった家事は自分で普通にやるしかなかったので、体はきつかったですね。そして、娘は無症状のままでしたが、再検査で陽性になってしまいました。