新型コロナウイルス対策のため、政府が地方に配った「地方創生臨時交付金」。その総額は4.5兆円に上り、飲食店などに休業要請する際の協力金をはじめ、感染拡大の防止や、経済活動の回復などを目的とする事業に使われるはずだ。しかし、なかには理解し難い使い途で、無駄遣いをしているように見えるケースもある。
「3億7500万円」展覧会はガラガラ
高知県高知市は、プロジェクションマッピングなどで彩られた金魚を展示する「アートアクアリウム展」(昨年12月19日~3月7日)を開催。交付金からすべて支出した同展の総事業費は3億7500万円だが、地元紙に「いつ見てもガラガラ」という市民からの声が報じられた。
主催する高知市観光協会の事務局長はこう説明する。
「来場者数の累計は1月末までで約2万8000人。このペースですと目標来場者数(8万~10万人)の達成は現実的に厳しいと思っています。会場は換気など対策も徹底しており、混雑していないので当初予定していた入場制限をかけることもなく、来場した方にはゆっくりと楽しんでいただけるのではないかと思います」
新潟県は県立歴史博物館の空調設備や照明のLED化、PR動画の製作費などに交付金から約9993万円を充てた。
「アフターコロナのために地域の魅力を磨くことは認められているので、そのひとつとして歴史博物館の改修を事業化しました」(同県財政課)
「萌えキャラ」に600万円
沖縄県中城村は、交付金を使った事業で炎上騒動が起きている。
中城村の魅力を発信する架空キャラクター「中城村初代バーチャル観光大使」の「琉花」が1月20日、ツイッターで「私の容姿が性癖に刺さる人に届いてほしい」と発信し、批判が殺到。運営チームは謝罪し、これまでの投稿をすべて削除することになった。
「中城村の交付金から〈新たな情報発信体制構築事業〉に約1800万円、そのうち『琉花』に関する製作費や運営費は約600万円が活用されています。今回の騒動後、『琉花』は活動を中止しており、今後については検討中です」(同村産業振興課)