人生の節目になると、守り続けてきた習慣が生活を不便にすることもあるという。新たなことに挑戦するためにも、余計なものは手放した方がいいとする指摘も多い。東京大学名誉教授で社会学者の上野千鶴子さん(72才)は、40代のとき年賀状をやめたことを機に、人間関係の「断捨離」を行ってきた。
「結婚式や授賞式、記念パーティーなどは、よほどのことがなければ行かない。ただし、親しい友人との少人数での会食は大切にしています。気の合わない知人とのつきあいが苦痛なら、距離を置けばいいだけです。
新しい出会いが欲しければ、気になる人に『ご一緒に食事でもいかが』と声をかければいい。わざわざ同窓会に行って、古い友達との仲をつなぎとめなければならないほど、人づきあいに不自由していません」
人間関係もシンプルに、ムダなことはやらない。信念がはっきりしている上野さんだが、唯一、困っていることがあると話す。
「携帯電話に入っている、亡くなった友人のアドレスが消せないんです。ある日ふと、あの世から電話がかかってくるんじゃないかって妄想してね。これはずっと、取っておくのでしょうね」
いままでのこだわりを見直し、固定観念を手放すことが人生を豊かに生きるコツ。ルールは自分で決めて構わない。
※女性セブン2021年2月18日・25日号