中国の刑務所の元看守がチベット仏教の高位の活仏(生き仏)と偽って8都市に寺院を建立して弟子3000人を擁する教祖的存在となり、10年間で仏教の経典などを販売して約2億元(約36億5000万円)をだまし取ったほか、女性の弟子10人以上に暴行していたことが明らかになった。
この偽の活仏・王興夫は弟子らから訴えられて逮捕され、2月初旬に裁判の結果、詐欺罪や暴行罪で懲役25年の判決を受けた。今後は看守ではなく受刑者として、再び刑務所に戻ることになった。中国国営の中央テレビ局が報じた。
王はチベット族と無縁の漢族で、もともとは山東省済南市にある刑務所の看守だったが、無断欠勤が続いたことで解雇された。王は行く当てもなく旅を続け、四川省でチベット仏教の寺院に転がり込んだ際、老僧と出会って、チベット仏教の道に入いることになったという。
その後は老僧のもとで修行に励み、老僧らの尽力でチベット仏教の僧侶としての身分証明書も取得、「洛桑丹真(ロサン・タンチェン)」と名乗った。
その後、その寺院を出て、自らを「活仏」と称して、仏教寺院に入り、多くの人々をだまして、仏教活動を続けていくうちに、弟子も多数集まってくるようになったという。
王は看守時代にも「気功の達人」と称して、多くの人々の前で演武を披露するなど、タレント的な才能も持ち合わせていたことから、演技がうまく、弟子たちも王を活仏として信じて疑わなかったようだ。
王は弟子を連れて全国各地を回り、北京市や瀋陽市、成都市、済南市など8都市に自身の寺院を創建、3000人以上の弟子を抱えるまでになった。弟子たちは毎年数百元から数万元(1元=16.5円)の喜捨を行っていたという。