音声SNS「Clubhouse」(クラブハウス)の日本上陸から、1か月が経とうとしている。専門家たちがセミナー的なトークルームを連日設けており、情報収集のツールとしてClubhouseを活用する人々も多いのではないだろうか。同サービスは招待制であること、また、トークのアーカイブは残らず、無許可でのトーク内容の記録・転載は原則禁止されていることから、「今ここだけの有益な情報を知ることができた」というお得感は大きい。
しかし、その「専門家」とは信用するに足る人物なのか? かねて、Clubhouseに関しては、「デマの温床になる」と危惧する声が多い。「トークのアーカイブは残らない」、「無許可でのトーク内容の記録・転載は原則禁止」というClubhouseの特徴は、誤情報が訂正されることなく拡散されやすい環境と捉えることもできる。
また、自分がフォローしているアカウントが参加するトークルームが表示される仕組みは、「自分にとって興味のあるトピックにアクセスしやすい」という利点がある一方で、閉じたコミュニティ内で特定の価値観が強化されていく「エコーチェンバー現象」を起こす危険もあるといわれる。
かつてInstagramにおいて、「キャベツの葉で頭を包むと熱が下がる」「水や塩で目薬は手作りできる」といった偏った健康情報が流行し、問題となった。その際、医師によって誤情報を訂正する活動が行われたが、Clubhouseのトークルームというクローズドな空間では、そうした指摘が難しい一面があるだろう。
科学的根拠のないトンデモ健康法を長年ウォッチし、特に女性向けの美容健康法について検証した著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(ベストセラーズ)を上梓したライターの山田ノジル氏は、「Clubhouseは、デマが広がる温床としての環境が整っていると言えるでしょう」と指摘する。