2月13日深夜に発生した大地震で、10年前の東日本大震災を思い出した人は多かっただろう。日本に住む限り、地震の恐怖が消え去ることはない。政府の発表によれば、「南海トラフ地震」の発生確率は30年以内で70%以上。さらに、それに連動する形で「相模トラフ地震」が立て続けに起き、史上最悪の巨大地震「スーパー南海地震」となる可能性がある。もし、スーパー南海地震が起きた場合、あなたが住む街はどうなるのか。
スーパー南海地震で津波が発生した場合、津波による被害は、直撃を受ける沿岸部だけにとどまらない。東京そして横浜へと迫る。立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学さんはいう。
「銀座や丸の内、新宿、渋谷など繁華街の下には地下鉄が走り、駐車場などもあって地下3階建て構造のようになっている。津波がきたら水がどんどん地下に流れこんできて、水圧でドアが開かなくなり、地上に逃げることもできません。
たとえ10cmの高さの津波でも、水が階段を流れ落ちてくると、力の弱いお年寄りは手すりを使っても階段を上がることができない。30cmになったら若い男性でも無理。津波が来る前に地上に避難しなければ、大変なことになります。水深10~20cmでも逃げられずに溺死する人が続出するでしょう」(高橋さん)
横浜では東京湾に面した大さん橋や山下公園が海水で沈み、さらに市内を流れる川を津波が遡上し始める可能性もある。川は途中で氾濫し、歓楽街はことごとく水没。横浜駅の地下街にも大量の海水が容赦なく流れこんでいく。横浜市内を流れる河川は56にも及ぶ。それらが津波を内陸部深くまで運び、被害をさらに拡大させていくのだ。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんはいう。
「横浜だけでなく、東京も名古屋も大阪も“水の都”です。大阪は街なかまで運河が通っているし、名古屋には木曽川をはじめ大きな河川が流れこんでいる。横浜と同様の被害が想定されます」(島村さん)