北朝鮮では昨年12月、最高人民会議(日本の国会に相当)常任委員会で、「反動思想文化排撃法」を採択したが、この法律によって、自動車の窓ガラスにスモークフィルムを張るのは違法として、摘発されるケースが増えていることが明らかになった。スモークフィルムは「資本主義の黄色い風」の一部として禁止されるようになったという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮では1月以降、中国国境の都市、新義州と首都・平壌を結ぶ国道1号線で、治安部隊と警察がスモークフィルムを張った車両を停止させているとの事例が相次いでいるという。
あるドライバーはRFAに対して、「窓のスモークフィルムの色が黒でも、青、茶色でも、どのような色にも関係なく、ドライバーは資本主義の汚れた文化を示す『黄色い文化』を受け入れたとして、罰金を徴収されている」と明らかにしている。
罰金は20万ウォンから35万ウォン(約2万~3万5000円)で、北朝鮮の物価水準から見ると、かなりの高額。違反車両は登録され、2回目の摘発で、車両は没収されるというから極めて厳しい処置といえる。
「黄色い風」とは1990年代にさかのぼる北朝鮮の政治用語で、「反社会主義」的な行為全般を指しており、特に資本主義国の文化の流入によって、社会主義文化に悪い影響を与えることを指す。ほとんどの場合、韓国など資本主義社会の音楽、映画、テレビ番組などを意味している。
これらの資本主義的文化とスモークフィルムがどう関係するのか分かりにくいが、スモールフィルムで車内の様子をわかりにくくして、スマホで韓国などの音楽を聴いたり、動画を見たりするケースが多いためだという。