2020年秋頃より、Instagramの公式アカウントを持つ企業の偽アカウントが多数見つかっている。トレンドマイクロによると2020年12月時点で66の企業の偽アカウントがあり、年明けになっても被害が続いている状態だ。SNS関係の事件やトラブルに詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、Instagramで企業の偽アカウントが多発する理由と見分け方について解説する。
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Instagramに、企業の偽アカウントが次々と登場している。これまでに、ダイソー、エバラ、ちふれグループのスキンケアブランド「ドゥーナチュラル」、セゾンカード、ユニクロ、アサヒビール、スターバックスコーヒージャパン、森永製菓、よつ葉など、多くの偽アカウントが確認された。各企業はそれぞれ自社の偽アカウントに対する警告を発表しているが、うっかり騙されかけた人もいるかもしれない。友人たちとささやかなやりとりをしたり、有名人の投稿を楽しむためにインスタを使っている50代主婦・本橋優子さん(仮名)のもとにも、ある企業の公式と錯覚させるようなアカウントからメッセージがきた。
「『5000円当選しました』という連絡がインスタできました。覚えていないけれど、どこかで見かけて応募したのかもと思って喜んでしまった。夫に自慢したら、『その連絡は絶対に怪しい。調べた方がいい』って言われて。まさかと思って調べたら、応募した履歴もないしアカウントも怪しくて、危なかった」
本橋さんは夫の言葉によって思いとどまったため、それ以上の不審な出来事は起きなかった。実際、よく調べたらその企業には正式な公式アカウントが別にあり、女性が連絡をもらった方はフォロワー数も少なく投稿も少ない完全な偽アカウントだったそうだ。
企業のSNSアカウントでは、よく様々なキャンペーンを行っている。多いのが、フォロー&いいねなどによって商品が当選するキャンペーンだ。該当アカウントから当選の連絡がDMできたら、商品送付用に住所や名前などを連絡、または専用サイトに登録することが多い。その、よくあるプロセスを利用した詐欺が行われているのだ。
たとえば、オフィス用品や文具で知られるコクヨ株式会社の家具部門、コクヨファニチャーのInstagramアカウントでは、2020年12月、実際にプレゼントキャンペーンを行っていた。それに乗じて偽アカウントが作られ、実際にはまだ当選者が決まる前のタイミングで偽当選メッセージが送られていた。もし、その当選メールを信じて返信した場合、正体不明の相手に個人情報を知らせてしまうことになるだろう。このように、偽メッセージが送られてしまった企業は少なくない。