国内

地震発生時のTVカメラマンにネット民が賞賛 同業者たちの弁

業務用のENGカメラは本体が約4キロ、バッテリーなども含めると約8キロほどのものが多い(イメージ)

業務用のENGカメラは本体が約4キロ、バッテリーなども含めると約8キロほどのものが多い(イメージ)

 ネット民に人気が高い仕事っぷりというのは、どこか職人肌を感じさせるものが多い。その琴線に触れたのか、地震発生時の放送局カメラマンの動きが、大きな賞賛を集めた。ネットではとかく嫌われがちなマスコミだが、その業務は職人的な事柄の積み重ねと、仕事そのものへの矜持によって支えられている。ライターの森鷹久氏が、ネット受けが悪いと自覚する彼らが抱いた密かな喜びと誇りについて、レポートする。

 * * *
 2月20日深夜、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生。福島県浜通りや宮城県南部では震度6強の激しい揺れを観測するなど、東日本大震災から間も無く10年というタイミングの地震に、被災地域の人だけでなく日本国民の多くの脳裏に「悪夢」がよぎったはずだ。

 そんな中、近頃はネット上を中心に「嫌われっぱなし」なあの人たちを賞賛するSNS上の情報が、とあるサイトにまとめられ話題になっていた。在京テレビ局の現役カメラマンが思わず口元を緩ませた。

「宮城県のとあるテレビ局の報道フロアの地震時の様子が、テレビで繰り返し報じられました。そこには地震が起きた瞬間、カメラマンと思しき人がダッシュで部屋を出て行ったかと思うと、すぐにENG(業務用カメラ)を担いで戻ってきたところが映っていた。正直、報道の人間にとってはごく普通のことですが、プロ魂を感じると、みなさんに賞賛してもらえたのは嬉しかったです」(在京キー局カメラマン)

 テレビ局、特に報道となると「マスゴミなんか信じられない」「偏向報道をするな」と猛烈なバッシングを受けることが多くなっている。先のカメラマンは、街でカメラを構えていたところ「コロナを煽る報道をするな」と、通行人から唾を吐きかけられたこともあるほど。だからこそ、ネットで見かけた久々のポジティブな反応を見て、素直に嬉しさを感じたという。

 あの地震が起きたとき、報道に携わる人たちは、いったいどんな夜を過ごしていたのか。民放テレビ局の男性記者(30代)は、あの夜はすっかりリラックスしており、あとは寝るだけのはずだった。

「今回の地震が起きた時、家で風呂上がりにビールを飲んでいたところでした。グラッと揺れが来た瞬間、緊急地震速報と同じ速さで上司から電話があり『来れるか?』でした。濡れ髪もそのまま、まだ酔っ払ったままスーツに着替え、タクシーで出社しました」(民放局の男性記者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン