森友学園問題で財務省近畿財務局職員赤木俊夫さん(享年54)が自殺して、間もなく3年になろうとしている。妻・雅子さん(49)はこう振り返る。
「夫は自ら命を絶った。もうすぐ3年になる。ある日、自宅を片付けていた私は、手のひらにおさまるほどの小さなメモ帳を見つけた。開くと『3/7』の文字。
『あっ、としくんが亡くなった日だ』
あの頃、誰にも頼れず夫婦二人で苦しんでいた思いを、私はメモ帳に残していた。それは、夫が死に至る絶望の日々の記録だった」
あれから3年。雅子さんが苦悩の日々をつづった初公開メモをもとに、彼女の思いを大阪日日新聞記者・相澤冬樹氏がリポートする。
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世に知られる財務省公文書改ざん事件の物語。森友学園に格安で売った国有地の取引をめぐり、財務省は公文書を不正に書き換えた。当時の安倍(晋三)首相の妻、昭恵さんの名前をすべて消した。
改ざんさせられたのは出先機関の近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん。妻の赤木雅子さんのメモ帳には、誠実な公務員が命を絶つまでの苦悩の日々が記されている。
雅子さんは以前から、思いついたことをメモ帳に走り書きする習慣があった。森友学園問題が明るみに出る以前は、このメモ帳には夫との何気ない幸せな出来事ばかりが記されていた。
筆致に暗い影が差すようになったのは2017年3月3日の記述から。
〈いったいとしくんはいつ帰ってくるのか。あれはたしか2/8頃はじまった森友学園の問題。1ヶ月近く、毎日タクシーだ〉
この5日前の日曜日、俊夫さんは雅子さんと近所の梅林公園で過ごしていたところを上司の電話で職場に呼び出された。この時、最初の改ざんをさせられたのだ。
その日を境に俊夫さんは心を病んでいく。暗くふさぎ込んで「内閣が吹っ飛ぶようなことやらされたんや」とつぶやく。でも詳しいことは語らない。
5月12日の記述。
〈としくんが10日程前から様子がおかしい〉