国際情報

コロナ感染者数世界2位・死亡者数4位のインド 「感染封じ込め成功」は本当か

昨年は全土封鎖措置が取られたインド(AFP=時事通信フォト)

昨年は全土で封鎖措置が取られたインド(AFP=時事通信フォト)

 新型コロナは、欧米で感染拡大に減速傾向が出てきた。各国でワクチン接種が進んでおり、収束への期待が高まっている。そんな中、感染者数が世界2位、死亡者数も世界4位の“感染爆発国”インドが「感染封じ込めに成功した」との見解を出しているが、果たして本当なのだろうか──。ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也氏が考察する。

 * * *
 新型コロナはロックダウン(都市封鎖)や外出禁止などの厳しい措置の効果もあってか、欧米で感染拡大に歯止めがかかってきた。

 加えて、昨年12月に始まったワクチン接種が、欧米や中東諸国などの多くの国で進んでいる。すでに多くの人が接種を受けたイギリスやイスラエルでは、新規感染者数が顕著に減少したと報じられており、感染の抑止が期待されている。

 日本でも、2月17日からワクチン接種が始まった。効果が表れるのは、多くの人が接種を受ける春以降になりそうだが、ようやくコロナ禍収束に向けた希望の光が見えてきたといえるだろう。

 そんな中で、インドでは1月下旬に政府から、「感染封じ込めに成功した」との見解が出された。インドはこれまでアメリカに次いで多い1100万人超の感染者数が出ており、死亡者数も世界4位の15.6万人超に上っている。

インドはこれまでアメリカに次ぐ1100万人超の感染者が出ている

インドはこれまでアメリカに次ぐ1100万人超の感染者が出ている

 インド政府は、感染拡大を止めるために昨年春以来、国民に厳しい行動制限措置を課してきたが、新規感染者数の減少傾向を受けて、2月に措置を緩和している。このインドの感染動向をどう見たらよいか、少し考えてみたい。

ピーク時は1日あたり10万人弱の新規感染者

 まず、インドの感染動向を簡単にみていこう。昨年1月30日に最初の感染者が報告され、最初の死亡者が出たのは3月中旬だった。

 その後、新規感染者は春から夏にかけて徐々に増加した。夏になっても感染拡大は落ち着かず、9月中旬にはピークとなり、1日で9万7000人を超える新規感染者が出た。それ以降は徐々に新規感染者数は減少して、今年2月には1日あたり1万人前後の水準に落ち着いてきた。

 1日あたり1万人というと、まだ感染規模は大きいように思われるかもしれない。しかし、インドは人口が13.5億人(2018年)と、日本の10倍以上であることを踏まえれば、感染はかなり落ち着いたといえるだろう。

 死亡者数も、昨年春から夏に増加していった。9月中旬には、1日で1200人を超える死亡者が出てピークを迎えた。その後、徐々に減少して今年2月には1日100人前後にまで下がっており、日本とあまり変わらない水準となっている。

 インドでは、欧米や日本などで見られた第2波、第3波といった感染の波は来ていない。9月中旬のピークを境に感染が減少傾向となり、その傾向が続いているという。

関連記事

トピックス

第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン