まさに火中の栗を拾わされる形での就任となった橋本聖子・東京五輪組織委員会新会長。橋本新会長は就任翌日の2月19日、小池百合子・東京都知事のもとに挨拶に訪れ、カメラの前で互いに肘タッチを交わし“親密”ぶりをアピールした。
しかし、2人は直前まで激しい火花を散らしていたのだ。
橋本氏はその日の午前中、「自民党を離党する考えはない」と否定し、自民党北海道連会長も続投を明言。自民党議員のまま組織委員会会長を務める算段だった。それに対して野党から批判があがり、小池氏が記者会見で決定的な“離党勧告”をする。
「前の北京五輪では北京市長が組織委員会会長を務めていて、当然、共産党だったが、私はそういったところでは、国民が納得できるような説明も求められるのではないかと思う」
“自民党のままなら中国と同じ”と痛烈に批判したのだ。
そのうえで、橋本氏に離党や議員辞職を求めるかを問われると、「分かりやすい形が望ましいのではないでしょうか」と突きつけた。その直後に橋本氏は一転、自民党本部に離党届を提出し、北海道連会長も辞任する。
約2時間後に行なわれた2人の会談では印象的な光景が見られた。小池氏が満面の笑みを浮かべ、橋本氏にこう語りかけた。
「バッハ会長をはじめとするIOC(国際オリンピック委員会)の皆さんに、彼女(橋本氏のこと)はアイアンレディー、“鉄の女”だと、すばらしいと言って、メールを打っておきました」