複数の企業が自由に利用できるタイプのオープンオフィスも増えてきているが、「金融機関は大切な顧客データなどを扱うため、セキュリティの問題で他社とスペースを共有しづらい」(今吉氏)という問題がある。しかし支店をサテライトオフィスにすることで、専用のスペースを確保することができてセキュリティも万全になる。多くの支店をもっているからこそ可能な選択でもある。
最初にオープンしたサテライトオフィスは吉祥寺、立川の支店と、恵比寿研修会館、茗荷谷研修所の4か所で、昨年12月25日のことだった。さらに現在は4ヶ所が増え、3月末までには3ヶ所を増やし、合計11ヶ所になる予定だ。
場所については、効率的に利用できるように、社員の自宅分布を分析したうえで決められている。歩いて通えるケースは多くはないが、丸の内・大手町に出勤するよりは、はるかに時短につながっているという。
確保されている席数はサテライトごとに違うが15席前後が多く、そのほかにリモート会議ができるスペースも設けられている。「常に満席の状態で、利用には事前予約が必要」(今吉氏)という状況で、社員にも好評のようである。サテライトオフィスは、さらに増やしていく予定でもある。
同じような試みは他の金融機関にも広まる気配であり、新型コロナ後にもリモートワークは金融機関でも「普通の働き方」として定着していきそうだ。
取材・文/前屋毅(ジャーナリスト)