すでに映えの時代ではないという声もあるが、こと自撮りについては、理想の何かを表現しようとする人が多いだろう。だから美肌やデカ目などの加工人気は衰えないし、SNSでは別人という写真を掲載している人は少なくない。ライターの森鷹久氏が、元ヤマンバギャルのアラフォー美女が、SNSで理想の私を手に入れるまでを聞いた。
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SNSを眺めていると、時に目を見張るような美しい人の投稿を目にする。
透き通るような白い肌にツンと伸びた鼻先。子供のように柔らかそうな栗色の長髪、そして顔面の三分の一ほどもある大きな目。顎などは三角定規をひっくり返したようなシャープさ……。まじまじと見てみると、その強烈な違和感に気がつき、この人は「整形手術」をしているのではないか、そして「写真修正アプリ」を使い、現実の顔やスタイルとは程遠い「加工」をしているのではないか、そんな疑念を抱く人も少なくないだろう。かの人々たちは、周囲に「違和感」を抱かれていることに、どう思っているのか。いや、そのことに気がついていない可能性もあるのか。
「SNSの中の私が『わたし』なんですよ。現実は仮の姿、というか」
筆者の取材に応じてくれたのは、都内の美容系サロン経営・星野妙子さん(仮名・30代後半)。30代ではあるが、10代20代に人気のInstagramやTikTokなどのSNSを使いこなし、サロンの宣伝はもちろん、自身のライフスタイルを毎日発信し「いいね」の数も毎投稿に100近くつくなど、それなりのユーザーが星野さんの投稿を好意的に捉えていることがうかがえる。
しかし、冒頭で「違和感」と書いたように、実際に星野さんと会ってみると、SNS写真とのギャップというか、あまりの別人っぷりに唖然としてしまった。筆者の前にいる星野さんは、スマホ画面の中にいた人物ではなく、筆者の同級生にもいそうな、ちょっと派手目な雰囲気をまとった「普通の人」なのである。さらにその日はすっぴんにマスク、ニットキャップという出立ちだ。星野さんはいう。
「きっかけは中学時代に初めて撮った『プリクラ』でした。私のコンプレックスは、口の両サイドに深いシワがあることで、写真を撮る時にはピースをしてそこを隠していました。それがプリクラだと、白飛びして目立たなくなる。すごく気に入りました」