同じ高校に息子を通わせる3人の母たちの恋と人生を描いたマンガ『恋する母たち』(女性セブン連載)がついに完結。アラフォー女性の揺らぎや惑いをリアルに浮かび上がらせ、ふとした隙に入り込んでくる“恋”に、多くの読者は共感し、ときめいた。昨秋ドラマ化もされた本作の連載当初からの読者である林真理子さんが、作者の柴門ふみさんと語った。
林:スピンオフもいよいよ最終回を迎えた『恋する母たち』(以下、恋母)は、いつも楽しく読ませていただいていました。柴門さんは仕事場へアシスタントを呼ばれないとうかがったので、ひとりで原稿を描かれるのは大変でしたでしょう。
柴門:全部リモートにしてしまったから仕上げで原稿に消しゴムをかけるのもすべて自分がやらなくちゃいけないんですが、この年になってあの作業をすると体力が削がれてもうへとへとになってしまうの(苦笑)。コロナが終息したら、また来てもらわないとだめだわと思いました。
コロナになって夫と顔を合わせる機会が多くなって……
林:私たちの仕事は下調べで取材に出かける機会が多いから、コロナでそれができなくなって残念な部分もたくさんありますよね。あと、コロナで変わったことといえば夫と顔を合わす時間が多くなった。
食事の時間にはそれこそ会社時代の話や時事的な話なんかをいろいろと聞くんだけど、最近では森(喜朗)さんに対する世間の反応についていけなかったみたい。夫いわく、森さんの何がいけないのかと。女を理事にするなとか女はバカだと言っているのではなく、“話が長くて困っちゃうんだよな”と言ったに過ぎないし、全文読めば、ちゃんと辻褄を合わせているじゃないかと。“あんなに叩かれる理由を教えてくれ。おれにはわからない”と言うんですよ。
〈東京五輪・パラリンピック組織委員会会長を務めていた森喜朗元首相が「女性が出席する会議は話が長い」と発言したのは2月3日。女性蔑視発言だと大きく報道され、国内外から批判が殺到した。森元首相は謝罪、撤回したが、火消しとはならず、会長職を辞任する事態になったのは記憶に新しい〉
林:夫の世代では同じような考えの人はたくさんいるだろうなと思いました。まぁ、森さんを擁護するわけではないけれど、自分と違う価値観の老人にワーッと寄ってたかって石を投げる風潮は、好きになれませんね。
柴門:いまは本当に、自分と違う考えの人を徹底的に排除していく傾向がありますね。今回のコロナでよくわかったことですが、かたやマスク警察や自粛警察がいる一方、平気でマスクを外してべちゃくちゃやっている人たちもいて。