中国がコロナ禍の混乱の隙を突くように日本の領海への侵入を繰り返し、東シナ海の緊張が高まっている。今年2月1日に中国政府が海警局に武器使用権限を与える海警法を施行し、海警局を「第2の海軍」化した。
ところが、肝心の日本政府の動きは非常に鈍い。加藤勝信・官房長官は領海侵入に、「遺憾である」と繰り返すだけで、茂木敏充外相は海警法について、「国際法に反する形で適用されることがあってはならない」と中国に“お願い”する始末だ。
弱腰の菅政権とは対照的に、日本の政界で中国の海警法と領海侵入を最も強く批判しているのが日本共産党だ。
志位和夫・委員長は2月12日、「海警法の施行は国際法に違反」するとして撤回を求める談話を発表。この日本共産党による中国共産党政権批判には、自民党内から「よく言った」との声があがっているほどだ。
志位氏に話を聞いた。
「海警法は明らかに国際法違反です。国連海洋法条約では、沿岸国の権限を限定的に規定し、国際社会の航行の自由を広く認めている。たとえ領海内であっても無制限な強制措置は取れない。
ところが、中国の海警法の条文を読むと、『我が国(中国)の管轄海域』を一方的に決めて、臨検ができるとか、武器使用を含むあらゆる必要な措置を講じて侵害を阻止し危険を除去する権限を有すると書いてある。しかも、法律上、管轄海域とは何かという規定がない。要するに中国がいくらでも管轄海域を広げられる。これは国際法の秩序に真っ向から反する。だから日本政府は法律自体が国際法違反だと批判し撤回を求める必要がある」
中国の覇権主義にも警鐘を鳴らす。
「この10年で中国には深刻な変質が起きている。そのひとつが覇権主義です。東シナ海、南シナ海で力ずくで現状を変更しようとしている。日本共産党は2017年の党大会の決議案に中国の覇権主義への批判を盛り込んだが、直前に当時の程永華・駐日大使が、『削除してくれませんか』と言ってきた。私は『それはできません』と何が問題なのかを1時間半くらい話した。私が中国と議論してきて思うのは、中国共産党はたいへんに大きな党だが、正論を言われるのが嫌なんです。向こうが正論を言われるのが嫌なら、なおのこと言わなければならない」