濃厚接触が避けられないAV(アダルトビデオ)の撮影現場はこのコロナ禍においてどうなっているのか。日本、および台湾の撮影事情を取材した。
コロナ禍におけるAV制作の動向をAVライターの大坪ケムタ氏が解説する。
「多くのメーカーで撮影が行なわれてきました。しかしコロナの陽性者や濃厚接触者が出た場合、現場を中止せざるを得ません。メーカーによってはキャンセル料などが発生するリスクを回避するために緊急事態宣言明けまで、あるいは一般向けのワクチン接種が開始されるまで撮影しないところもあります」
現在、撮影を行なうメーカーのほとんどが「外部の人間を撮影現場に入れない」方針を採る。その中で「厳重な対策のもとでなら」と許可が下りたメーカーを取材した。素人系メーカー・ブロッコリーの撮影現場では、まずスタジオの入り口での検温と手指消毒から1日が始まる。
「弊社では演者含め7、8人の少人数で換気しやすいアパートの一室で撮影を行なっています。僕の作品では、コロナ流行以前から男優は黒子的な存在としてマスク着用は必須でした。現場の見た目だけなら以前とさほど変わりありません」(西田監督)
出演女優の繭はこの2月にデビューしたばかり。
「販売員をしていたのですが、コロナで売り上げが激減し、会社の方針変更などでトラブルが増えたので、会社を辞めてAVの世界に飛び込むことにしました。他の仕事より感染リスクはありますが、健康的な食事と運動をして免疫力を高めて撮影に参加するよう努力しています」
老舗メーカー、マックス・エーでは、通常時より人数を大幅に絞り出演者を含む7人で女優・最上一花の撮影が行なわれていた。
「弊社では昨年春より、体温37.2度以上ないし、パルスオキシメーターが酸素飽和度93%以下を示した場合は出演者も現場に入れません。スタッフは常にマスクとフェイスガードを装着し、男優も撮影中以外は同様にしています」(広報担当者)