帝国ホテルの「30泊36万円」をはじめ、ホテルニューオータニ、京王プラザホテル、リーガロイヤルホテル(大阪)など高級ホテルが続々と“長期滞在プラン”を発売し、即完売するほど人気を博している。しかし、コロナ禍とはいえ長期のホテル暮らしは本当に快適なのだろうか──。実体験もあるホテル評論家の瀧澤信秋氏が指南する。
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ホテル業界の苦境についてはもはや触れないが、過去に類を見ないようなホテルの動きで世間をアッと言わせたのが「帝国ホテル東京」のサービスアパートメントだ。その金額や内容もさる事ながら、あの伝統と格式ある帝国ホテルがサービスアパートメントをスタートすることそのものに注目が集まった。
その後も高級ホテルから長期滞在プランが続々と発売されている。ブランドイメージ、遊休スペース活用、コスト削減等の面からもサービスアパートメントや長期滞在プランを打ち出す理由が垣間見える。コロナ禍による宿泊需要の激減が要因なのは誰しもが認めるところであろうが、宿泊という概念そのものを変えつつあるのだろうか。
じつは、筆者は今後注目されるホテルライクな進化サービスとして、レジデンスホテルやサービスアパートメントについて2019年6月に当サイトへ寄稿しているが、今回あらためてポイントを抽出、快適なサービスアパートメントの条件について考察してみたい。
ウィークリーマンションと何が違うのか?
まず、サービスアパートメントとは何か──。帝国ホテルという話題からホテルっぽい部屋をイメージする。ウィークリーマンションのような週単位や月単位契約のマンションは街中でよく見かけるが、こうしたマンションは家具や家電付きが基本だ(月単位かそれ以下の契約かで法令上の細かい問題はあるがここでは触れない)。
帝国ホテルの客室にも家具や家電は付いており、手ぶらで入居できるといっても大袈裟ではない。他方、街中の短期契約マンションとサービスアパートメントが異なるのは、客室清掃や朝食の提供、フロント・コンシェルジュサービスなどホテルライクなサービス提供があるかどうかだ。
近年は外資系の「オークウッド」や「フレイザー」といった高級サービスアパートメントを展開する施設が国内で存在感を示している。一般のホテルでも外資系=高級感をイメージするが、やはりサービスアパートメントというワードには洗練されたサービスや高級感を想起する。
また、ビジネスホテルで知られる「ドーミーイン」が進出したレジデンスについても当サイトの過去記事でレポートしているが、ビジネスホテルブランドが手がけているとはいえ、客室面積や備品などさすが長期滞在を前提としているだけのことはある。