「もう10年」「まだ10年」――人によって感じ方は違うかもしれない。多くの犠牲者を出した東日本大震災からまもなく10年を迎える。節目となる「10年」をテレビはどう伝えるのか? 大掛かりなプロジェクトを行っているのはNHKだ。その狙いについて、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
* * *
東日本大震災からちょうど10年となる3月11日が間近に迫り、NHKが「あの日、そして明日へ ~それぞれの3654日~」と題したプロジェクトを行っています。
中核を担っているのは、もちろん関連番組の放送。6日(土)から14日(日)にかけて、総合、Eテレ、BS1、BS4K、FMで、実に50を超える関連番組の放送が予定されているのです。
主な番組を挙げていくと、まず6日(土)の目玉は、2つの大型ドラマ。綾瀬はるかさん主演の『あなたのそばで明日が笑う』(総合・19時30分~)は宮城県石巻市で行方不明の夫を待ち続ける女性が震災を知らない建築士と心を通わせていくという物語、草なぎ剛さん主演の『ペペロンチーノ』(BSプレミアム、BS4K・22時30分~)は津波でレストランを流されたシェフが店を再建する物語です。
ドラマでは8日(月)に最終話を迎える『ハルカの光』(Eテレ・19時25分~)にも注目。震災で家や友人を亡くした主人公を黒島結菜さんが演じていますが、彼女は来春の朝ドラ『ちむどんどん』のヒロイン起用が発表されたばかりで、さらに注目が集まるでしょう。
また、スケールの大きさで目を引くのは、『NHKスペシャル』(総合・土日21時~、平日22時~)。6日(土)『津波避難 何が生死を分けたのか』、7日(日)『ドラマ 星影のワルツ』、8日(月)『イナサ~風寄せる大地 16年の記録~』、9日(火)『私と故郷と原発事故』、10日(水)『調査報告“除染マネー”』、11日(木)『震災 映像記録 ~100か所の定点映像が映す“復興”~』、13日(土)『いま言葉にできること まだ言葉にできないこと~“震災遺児”10年の歩み~』、14日(日)『廃炉への道2021 映像記録 原発事故10年の軌跡』と連日さまざまなテーマで掘り下げていきます。
民放各局を上回る予算と技術を駆使
レギュラー番組でも、震災関連の特集を放送。
7日(日)『ダーウィンが来た!震災から10年 奇跡の復活!三陸の生きものたち』(総合・19時30分~)、8日(月)『鶴瓶の家族に乾杯 高橋尚子と福島スペシャル』(総合・19時30分~)、10日(水)『サンドのお風呂いただきます 福島第一原発の中へ&浜通りのいまSP』(総合・19時30分~)、11日(木)『がんこちゃんと失われたふるさと』(Eテレ・18時20分~)、13日(土)『LIFE!~人生に捧げるコント~東北スペシャル』(総合・22時10分~)など、いずれも震災関連の特別版であり、局を挙げてのプロジェクトである様子が伝わってきます。