中国の税関当局は2月26日、台湾産パイナップルから「害虫が確認された」として3月1日から輸入を禁止すると発表した。台湾のパイナップル生産量は年間40万トン前後で、9割が台湾内で消費され、残る1割程度の約4万2000トンが輸出されており、その97%が中国本土向け。台湾の陳吉仲農務水産相は2月27日の会見で、「海外のバイヤーから3万トンの輸出が確保できれば、今回の禁輸の影響をカバーできる」と述べており、台湾側は日本への販売促進キャンペーンを開始した。
パイナップルの産地である台湾桃園市の鄭文燦市長は2月26日、ツイッターで「美味しくジューシーなパイナップルは、台湾のみならず、日本の方にも愛されています。ぜひ試してください」とメッセージを日本語で投稿したところ、9万4000もの「いいね」を獲得した。「台湾のパイナップルは大好き。もっと宣伝して、どんどん日本に輸出して下さい」などのコメントが寄せられた。
台湾当局は「2020年に台湾から輸入したパイナップルに有害生物が混入していた」との中国側の説明について、「パイナップルの検疫合格率は99.79%であり、本格的な収穫時期を迎えるころに突然、禁輸措置を取るのは不合理だ」として逆に中国を批判している。
台湾の蔡英文総統も「中国は豪州産ワインの次に、台湾産パイナップルを標的にした」との声明を発表した。中国は昨年8月、関係が悪化していたオーストラリア産のワインや牛肉、大麦などの輸入をほぼストップしており、蔡氏は「中国は貿易を政治の道具にしている」と主張している。
蔡氏ら台湾当局の閣僚や地方政府はパイナップル農家の支援のために、台湾産のパイナップルの美味しさなどを日本語や英語で宣伝するなど、輸入促進キャンペーンを開始。蘇貞昌行政院長(首相)は「日本向けを(昨年の)約2100トンから5000トンに引き上げを目指す」と表明した。
台湾南部・屏東県の潘孟安県長も2月27日、日本の大手スーパー向けの県産パイナップルの第1陣が出発したが、今年の出荷量は昨年の2倍の600トンに増える可能性があるとの見通しを明らかにした。