天皇の「重い言葉」が皇室の置かれた難しい状況を物語っていた。2月19日、誕生日会見に臨んだ天皇は、国民の関心が集まる秋篠宮家の長女・眞子内親王の結婚問題について、「異例中の異例」(宮内庁記者)の発言をした。まずはその言葉を振り返る。
「眞子内親王の結婚については、国民の間で様々な意見があることは私も承知しております。このことについては、眞子内親王がご両親とよく話し合い、秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております」
一見すると当たり障りのない発言に見えるし、昨年、秋篠宮皇嗣が自身の誕生日会見で述べた言葉を繰り返したようにも見える。会見を報じるテレビや新聞でも、この発言を特に重視した解説や論評はなかった。しかし、この言葉には重大な意味が込められていたという。
「この発言は異例中の異例です。天皇は眞子さまに対して、結婚のために2つも条件を出しているのです。まずは両親とよく話し合うこと、もうひとつは国民が納得して祝福する状況を作ることです。これは秋篠宮家の私的な問題に干渉する発言ですから、天皇といえどよほどの覚悟があったはず。通常は誕生日会見の内容を事前に他の皇族に知らせることはありませんが、今回はここまで踏み込んだのですから、上皇ご夫妻と秋篠宮さまにはお伝えしていただろうと思います」(宮内庁記者)
眞子内親王と小室圭氏の結婚は、平成の時代に上皇が裁可していたものだ。前の天皇が認めたものに現天皇が意見を述べるということは、天皇家にとって軽い話ではないのだという。コロナ禍で、天皇はじめ皇室が国民と直接触れ合う機会はほとんどなくなった。大半の公務も中止・延期されている。しかし古来、天皇は宮殿にあって国家と国民の安寧を祈ることが最大の役目であり、いまはまさに本来の天皇の姿を体現する世とも言える。天皇自身が一番それを感じているからこそ、誕生日会見でも冒頭から歴代天皇の事蹟を語ったのだろう。こんな発言だった。
「歴代天皇のご事蹟をたどれば、天変地異等が続く不安定な世を鎮めたいとの思いを込めて奈良の大仏を作られた聖武天皇、疫病の収束を願って般若心経を書写された平安時代の嵯峨天皇に始まり、戦国時代の後奈良天皇、正親町天皇など歴代の天皇はその時代時代にあって、国民に寄り添うべく、思いを受け継ぎ、自らができることを成すよう努めてこられました。その精神は現代にも通じるものがあると思います。皇室の在り方や活動の基本は、国民の幸せを常に願って、国民と苦楽を共にすることだと思います」