注目の映画『ブレイブ-群青戦記-』など、タイプスリップするドラマ・映画は今も昔も多い。特徴的なのはタイプスリップする人に高校生が多いということだ。それには理由があった。コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。
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タイムスリップ天国ニッポン。というわけで、今シーズンもドラマ『江戸モアゼル』では江戸時代の花魁(岡田結実)が元気よくタイムスリップしてきているが、12日には映画『ブレイブ-群青戦記-』が公開となる。
この映画は、スポーツ強豪校の高校生たちが、桶狭間の戦直前の戦国時代にタイムスリップ。人質になった仲間を救うため、アスリートである自分たちの特技を活かし、織田信長(松山ケンイチ)の砦に攻め入るというもの。弓道部の主人公・西野蒼(新田真剣佑)は弓を放ち、アメフト部は猛烈突進、空手部やボクシング部は大暴れ、野球部は火球をかっ飛ばす。「その道を進め」と武将らしさを見せる松平元康(のちの家康・三浦春馬)の存在感も光っている。
それにしても、日本では高校生がよくタイムスリップするのである。古くは1977年、NHK少年ドラマシリーズの『幕末未来人』。
戦艦を見学にいったふたりの高校生が幕末にスリップし、沖田総司や桂小五郎など幕末の有名人に出会う。原案は人気SF作家・眉村卓だ。
同様に幕末に行ったのは、1994年のドラマ『幕末高校生』の面々。新選組に追われて逃げ回る引率の先生(細川ふみえ)のスーツに肩パットがガッチリ入っていたり、男子生徒が武田真治と山本太郎だったりして、懐かしさがいっぱいだ。
ドラマからちょうど二十年後、2014年には、石原さとみが先生役で映画化もされている。ミーハーな先生は勝海舟(玉木宏)に「勝海舟さんですよね、きゃーっ、江戸無血開城!!」と、大喜びだが、勝本人は「えっ、オレ?ととぼけた様子。同行する恵理(川口春奈)、雅也(柄本時生)、慎太郎(千葉雄大)の高3トリオの顔ぶれも初々しい。