福岡県で発生した5才男児の餓死事件は、背後で母親を“洗脳”していた知人女性の存在が大きな関心を集めている。母親の碇利恵容疑者(39才)と知人の赤堀恵美子容疑者(48才)が、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されたのは3月2日のこと。近所の住民が「仲が良かった」と語る家族をメチャクチャにした赤堀容疑者とは、どんな人物なのか。
赤堀容疑者が生まれた福岡県大川市は、その名の通り、九州最大の河川、筑後川の河口に位置している。上流付近が木材の一大産地にあたるため、古くから大川市は木材の集積地、さらには木工技術を生かした家具の生産地として知られてきた。赤堀容疑者の家も、両親ともに家具メーカーに長いあいだ勤めていたという。近隣住民が語る。
「あそこは熱心に宗教活動をしながら、いまは潰れちまった家具の会社で働いていたんだよ。親父さんの方は、その宗教の機関紙の配達員までボランティアでやっていたからよく覚えている」
そんな両親の間に赤堀容疑者が生まれたのは、1973年のこと。兄と姉がいる3人きょうだいの末娘として生まれた。
「あの子はなぁ、口は悪いしよく肥えとる子やったけど、心根は優しい子なんよ」
赤堀容疑者の実父が語る。
「恵美子はな、生まれてすぐ黄疸がひどくてね。産婦人科医もお手上げ。それで総合病院の院長に診てもらったら、『はやく名前をつけて呼んであげた方がいい』って。病気になったけん、『美しく、周りの人に恵まれますように』と、恵美子という名前をつけたと」
地場産業に勤しみ、信仰心に厚く、娘思いの父親。田舎育ちの朴訥とした家族の風景のように思えるが、赤堀容疑者の実家と関係の深い女性が、一笑に付す。
「貧乏だったら、つましく生きるのが普通だけど、あの一家は人に寄生するのを得意としているところがあったわけよ。恵美子はさ、いわば“一家のサラブレッド”。血統書付きの詐欺師だよ」
どういうことか。
「祖父母から、両親、そして恵美子ら3人きょうだい、みんな借金ばっかり作ってた。恵美子の母親なんて、“わしが信じてる宗教知っとるじゃろ。信者は嘘はつかんから貸してもらえんやろか”って。いつもそれで借りたまま。同じ宗教の信者に対しても20万円借りたまま返さないで裁判沙汰になったこともあったんだよ」
この女性も両親の代から、赤堀容疑者の実家からの無心にあっていた。
「あそこの家は、わざわざ高齢の祖父母を連れてきて、その口から言わすことがあったんよ。そういうときは世代の近い私の父に向かって、“こまかときから知っとうやけん(小さい頃から知っている仲だから)”って何度も言ってくる。小さな町だし、情にほだされた父が、数万円を何度も貸してあげていました」