臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、テレビのインタビューで英王室の「人種差別」を告発し大きな話題を呼んでいるメーガン妃について。
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今週、アメリカやイギリスでは英王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃のテレビインタビューでの衝撃的な告白で持ちきりらしい。日本でも放送前から注目を集めていたが、期待を裏切らないその内容は予想以上のものだったようだ。
3月7日、米CBSテレビで人気司会者オプラ・ウィンフリーによる英王室離脱後初のインタビューが放送された。視聴者数は1710万人以上。翌8日に英テレビ局ITVで放送された時も1130万人が視聴したという。日本で見れないのが残念でならない。
メーガン妃が着ていたのは、右肩から胸元にかけて淡い色の花模様がデザインされた黒のワンピースドレス。メーガン妃に黒という色のイメージはなかったが、やはり告白の場に選んだのは黒だった。強い気持ちや決意を表す時、黒を選ぶ人は多い。一流アスリートの引退会見でも、黒系を着用する例がよく見られる。英王室の内側を暴露するということは、王室とは完全に縁を切るという彼女の決断だろう。
メーガン妃は、生まれてくる子供の肌がどれくらい濃いのかという会話がなされたと淡々と話し、「生きていたくないと思った」と告白。王室は「他の王室メンバーを守るために平気で嘘をつく」と語り、自分たちを守ってくれなかった、黙らされていたと批判した。
もちろん、人種差別はあってはならないが、人種差別とメンタル問題を出されれば、誰も表だって彼女を責められない。一方で、王室と対峙するほど、可哀想な自分を露にするほど世間の彼女への興味や関心は高まる。ネット上でバズるほどその価値が上がるのも事実だ。
そして海の向こうは大騒ぎ。米女子テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手は、「経験した痛みや残酷さがよく表れている」とインスタグラムに投稿。セレブたちが彼女の支持を表明する中、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官までが「実体験について話すことは勇気がいる」とコメント。ヘンリー王子夫妻のインタビューを批判した英テレビ司会者ピアーズ・モーガン氏は、苦情が殺到して番組を降板する事態になった。